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「まだ戦える集団になっていない」…指揮官“不満”もインハイ8強徳島市立が7年連続決勝へ:徳島

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徳島市立高が7年連続の決勝に勝ち上がった

[11.2 高校選手権徳島県予選準決勝 徳島市立2-0徳島商 入田M]

 第98回全国高校サッカー選手権の徳島県予選準決勝が2日に行われ、徳島市立高徳島商高を2-0で下し、7年連続となる決勝に勝ち上がった。9日の決勝の相手は3年連続で徳島北高に決まった。

 決定力の差で勝ち切りましたね。そう声をかけた記者に河野博幸監督は「いやいや、全然ですよ」と険しい表情。「夏が終わってから目標が何だったのかを見失っている」。今夏のインターハイで8強を経験したものの、もう一つ冬に向けた気持ちの高まりをみせないイレブンに思わず不満を漏らした。

 ただやはり県内では力が抜けている。序盤は相手の勢いのある攻撃にやや押し込まれた徳島市立だが、サイドに起点を見出すと、ようやくチャンスが生まれだす。すると前半35分、右サイド深くに侵入したMF平佑斗(3年)の折り返しをMF川人太陽(3年)が合わせる。直前の同じ形のクロスはわずかに合わなかったが、しっかりと修正してみせた。

 前半のうちに1点をリードしたことで、徳島市立により落ち着きが出てくる。そして後半26分、右サイドでボールを奪うと、FW木村広也(3年)が浮き球にしてダイレクトにつなぐ。これにDFと競り合いながらゴール前に詰めていた今大会好調のFW石井嵩也(2年)が左足を伸ばしで流し込み、勝利をグッと引き寄せた。

 この日のスタメンでも去年の全国大会を経験したメンバーは半数以上を数える。“経験豊富”と捉える向きもあるが、監督に言わせれば「のんびりしている子が多い。お互いのことを指摘し合えない」と頭を悩ます世代だという。「まだ戦える集団になっていない」。それでも今季はプリンスリーグ四国でも2位と好成績。指揮官の不満はイレブンの可能性を信じているからこそのもどかしさに思える。

 思い出してほしい目標はもちろん、全国で戦って勝つということだ。インターハイも8強といえど、勝利はすべてPK戦勝ちだったこともあり、満足はいっていない。「決勝は今日みたいに空回りにならないようにしないと。もう少しちゃんとボールを持ちながらやれればいいと思う」。基準を全国に置くチームの最終章が県大会で終わるはずはない。

(取材・文 児玉幸洋)
●【特設】高校選手権2019

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