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[MOM3046]高川学園FW河野眞斗(3年)_「3年間あまりサッカーをしていない」男の恩返し

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決勝点を奪った高川学園高FW河野眞斗(3年=10番)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.10 選手権山口県予選決勝 西京高0-1高川学園高 みらスタ]

 負傷の期間こそ長かったが、与えられた背番号10が信頼の証だ。毎年のようにケガに悩まされ、長期離脱もした。しかし、最終学年となって迎えた大一番。高川学園FW河野眞斗(3年)は、チームに全国行きの切符をもたらす値千金のゴールを奪ってみせた。

 試合開始早々の前半9分だった。中央でボールを受けた河野は、「パスをもらったときに眞田が見えた」と右サイドのMF眞田颯太(3年)へと展開し、自らはゴール前へと走り込む。眞田のクロスに反応すると、「GKがニアにいるのが見えたので、ファーサイドに流し込んだ。合わせた瞬間に入ったと思った」ときっちりとヘディングで合わせ、この試合唯一となるゴールを陥れた。

 この3年間はケガとの戦いだったという。中学3年の冬に負傷し、高校入学前の3月に両足首を手術。復帰したのは高校1年の2月となり、「1年間ケガ人だった」。さらに約4か月後の高校2年の総体予選(6月)後に左膝半月板を損傷し、全国で戦う仲間の姿を病室から見守った。選手権予選前の9月半ばには復帰したものの、高校2年の2月にまたもや左膝を負傷して手術を行った。

 度重なる負傷に「メンタル的にもきつかった」と唇を噛む。ここで支えとなったのがチームメイトの存在だった。「仲間が『焦らずに治してくれていい』『俺たちに任せてくれ』と言ってくれた。頼れる仲間がいると感じられただけでなく、ピッチに戻りたい思いが強くなった」。そして、2月の手術から約4か月後、自身が高校3年となって迎えた総体予選こそ「スタンドから応援していた」が、予選終了後に復帰。総体で全国行きのチケットを逃していたからこそ、最後の選手権予選に賭ける思いは強かった。

「この選手権予選であまり点を取れずにチームに迷惑をかけて、悔しい思いもあった。この舞台で点を決めたかった」

 そして、生まれた大舞台での恩返し弾。信頼を寄せて背番号10を与えた江本孝監督は、「ケガに泣かされてきたけど、今日の大舞台で仕事をしてくれた。もしかしたら、彼が一番色んな思いがあったかもしれない。これまで褒めてこなかったので、今日だけは褒めてあげたい」と苦境を乗り越え続けてきた男の活躍に頬を緩める。

「負傷ばかりで、3年間あまりサッカーをしていない」と苦笑したストライカーだが、苦しい道を歩んできたことを仲間は知っている。ネットが揺れて得点が生まれた瞬間、「皆が寄ってきたのが分かったので嬉しかった」と背番号10を中心にした歓喜の輪が広がった。

(取材・文 折戸岳彦)
●【特設】高校選手権2019

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