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[AFC U-19選手権予選]苦渋の「西野監督と同じ決断」。U-18日本代表、笑顔なきドロー突破

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U-18日本代表は敵地戦で思うような戦いをすることができなかった

[11.10 AFC U-19選手権予選 U-18日本代表 0-0 U-18ベトナム代表 ベトナム]

 10日、2年後のU-20ワールドカップに向けての1次予選にあたるAFC U-19選手権予選の最終戦が行われ、U-18日本代表はU-18ベトナム代表とアウェーで対戦。地元の後押しを受ける相手を攻め切れず、後半には退場者を出す難しい展開となり、0-0の引き分けに。2勝1分での予選通過は果たしたものの、苦い後味の残る試合となった。

 1、2戦を大勝で終えていた日本は、その2試合のメンバーをミックスした布陣でこの最終戦に臨んだ。GKには小久保怜央ブライアン(ベンフィカ)、DFには右から中村拓海(FC東京)、西尾隆矢林田魁斗(共にC大阪U-18)、加藤聖(JFAアカデミー福島U18)、中盤は右から石浦大雅(東京Vユース)、松本凪生(C大阪U-18)、柴田壮介(湘南)、鮎川峻(広島ユース)、前線には染野唯月(尚志高)と櫻川ソロモン(千葉U-18)が入った。

 これに対し、ベトナムを率いる元日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏は5バックと4人のMFを二列に並べて守る「ゴール前にバスを停める」ディフェンシブな布陣を採用。これに加え、6日間で6試合目とあって荒れていたピッチに加え、猛烈な地元の声援が生むプレッシャーもあり、序盤から日本の攻撃はチグハグな部分が目立つ流れとなる。9分に中村のクロスから櫻川が狙う場面はあったものの、前半のチャンスはこれと、38分に櫻川がハイボールを競ったこぼれ球を拾う流れから中村がミドルシュートを狙った場面のみだった。

 逆に「相手はそれしか狙っていないのに」と影山雅永監督が頭を抱えたようなパスミスからのカウンターを受ける場面も頻出し、30分には中途半端なサイドチェンジのパスをカットされる形で速攻を受けたが、ここはGK小久保がグッドセーブ。さらにアディショナルタイムにもDFのパスを引っ掛けられる形のカウンターとなったが、相手のシュートミスに救われることとなった。

 後半から日本は攻撃的なMFである武田英寿(青森山田高)をボランチに入れて攻めの比重を増やす。ただ、ベトナム側は依然として引き分けを狙いつつ、カウンターだけを狙う割り切った対応だった。日本は11分には加藤のクロスから櫻川のヘッド、あるいは21分にこぼれ球を櫻川が左足で狙うなどチャンスもあったが、いずれも決め切れず。逆に29分、相手DFの挑発に乗ってしまった櫻川が一発退場となり、数的不利に陥ってしまった。

 こうなると、試合は完全にベトナムの術中だった。引き分けでもいいベトナムは後方でボールを回すのみで、一人少ない日本がプレスに行くのはリスクが大きい。互いに引き分けならば突破が濃厚という情勢。日本が取れる選択肢は一つしかなかった。

「(もしも敗れて)勝ち点6だと分からなくなってしまう。馬鹿を見るわけには……。気持ち悪いけれど、去年の西野監督のロシアW杯(ポーランドとの第3戦)での話じゃないけれど、仕方がない」(影山監督)

 相手の暗黙の提案を受け入れる形でそのまま時間の経過を待つ流れとなり、試合は終幕。0-0の引き分けとなり、日本の予選突破は決まった。チームの団長として帯同していた前U-20日本代表監督である内山篤技術委員は「得失点差でベトナムを上回って最終戦に来たからこそ。予選は何より突破することが大事」と強調したが、影山監督が「キモチワルイ」と悔しがったとおり、笑顔のない予選突破となった。

「アウェイの大観衆にビビってしまったところもそうだし、相手を観て判断するサッカー理解の部分もまだまだ。ここでしか経験できないことを彼らは味わった。いいレッスンになったと思う」

 そう総括した指揮官は、しかし同時に「でもここから何人残るかは分からないという話は彼らにもした」とも強調。今回の予選はJリーグとの兼ね合いや負傷などで「この年代の中心メンバーの7人ほどを日本に置いてきている」(影山監督)状態であり、さらにU-17W杯を戦っていたFW西川潤(桐光学園高)、DF半田陸(山形ユース)といった選手たちも今後はこちらの代表で候補になってくる見込みだからだ。

 2大会連続で世界の16強へ進んだとはいえ、アジア予選通過の切符が与えられているわけでないことは言うまでもない。U-18日本代表はここから再編の時期に入り、来年秋に開催されるアジアでの決戦に備えることとなる。

(取材・文 川端暁彦)
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