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貪欲に、エネルギーを持って選手権へ。夏の覇者・桐光学園が雨中の初戦制し、神奈川決勝進出

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前半32分、桐光学園高FWラナイメアー祈安が右足で先制ゴール

[11.23 選手権神奈川県予選準決勝 桐光学園高 3-1 平塚学園高 相模原ギオン]

 夏の王者・桐光学園が選手権出場に王手! 第98回全国高校サッカー選手権神奈川県予選準決勝が行われ、インターハイ優勝の桐光学園高平塚学園高と対戦。この準決勝が初戦となった桐光学園だったが、FWラナイメアー祈安(3年)の先制ゴールなど3-1で勝ち、11月30日に行われる決勝戦(対日大藤沢高)へ駒を進めた。

9月14日に40チームで開幕した神奈川県2次予選。夏の日本一、桐光学園はFW西川潤主将(3年、C大阪内定)がU-17ワールドカップ日本代表に選出された影響で大半の高校よりも2か月遅れての“初戦”となった。その間、大黒柱の西川不在に加え、主軸のMF中村洸太(3年)やMF岩根裕哉(1年)、CB安久レオナルド高貴(3年)が負傷離脱。当然、調整面での難しさはあったはずだ。それでも、桐光学園はこの日、風雨の吹き付ける難しいコンディションの中で一度もリードを許すことなく快勝。決勝へ向けた引き締めの材料も得て「初戦」を終えた。

 序盤、風上の桐光学園が前から勢いのある攻守で押し込む。アグレッシブな動きを見せたラナイメアーが前線で相手ボールを引っ掛けたり、俊足左SB佐々木ムライヨセフ(3年)の縦突破からゴール前へ。だが、徐々に相手のスピードに慣れた平塚学園はボールを繋ぎ、サイドチェンジやMF及川秀虎(3年)、MF渡邊波季(3年)、FW手塚頼(3年)のコンビネーションなどから仕掛ける回数を増やす。
 
 桐光学園はゴール前で後手に回り、決定的なピンチを迎えるシーンもあった。だが、31分、桐光学園はそれまで比較的1タッチパスで周囲を生かすことに徹していた西川が溜め込んでいたパワーを一気に放出するような形で仕掛け、DF網に穴を開けてFK獲得。これを中村がゴール右へ入れると、右SB前川壮太(2年)が競り勝ち、中央へ折り返す。最後はニアへ飛び込んだラナイメアーが右足で決めて1-0とした。

 桐光学園は38分にも右CKからCB奈良坂巧(2年)がクロスバー直撃のヘディングシュート。さらに、いずれも推進力のある西川とMF神田洸樹(3年)が、単独突破やワンツーからシュートを放つ。

 平塚学園も相手のミスを逃さずにボールを奪うと、横への展開やセットプレーから攻め返していたが、桐光学園はCB安久レオナルド高貴(3年)、奈良坂中心に決定打を打たせない。そして22分、佐々木が獲得した左FKを西川が左足で入れると、ファーサイドの奈良坂が頭でゴールに叩き込んだ。

 桐光学園はインターハイで大活躍したGK北村公平(2年)の存在もあってほとんど隙なく戦っていた印象だったが、2点目を奪った直後に不用意な攻撃からボールを奪われ、ピンチを迎えてしまう。平塚学園は左サイドから仕掛けたMF寺沢颯良(2年)がDFをわずかに外してクロス。中央の渡邊が頭で決めて1点差とした。

 堅守・桐光学園からゴールを奪った平塚学園のスタンドは大盛り上がり。勢いを増して桐光学園ゴールを目指した。だが、反省の1失点から、後方の選手中心に声を出して引き締め直した桐光学園は逆に押し返し、1チャンスで仕留めて見せる。36分、ラナイメアーとのパス交換でPAへ切れ込んだ神田が左足シュートを決めて3-1。この後、選手を入れ替えながらリードを守った桐光学園が決勝進出を決めた。

 インターハイ優勝は通過点。昨年度、桐光学園はインターハイで初の決勝進出、準優勝したが、選手権は全国1回戦で大津高(熊本)に0-5で大敗している。鈴木勝大監督は「(夏の結果から切り替えて臨んでも)心のどこかに『何とかなるんじゃないか』となってしまうと、チームって脆いのですぐに崩れてしまう」という。「この冬を取って、初めて名門の高校の仲間入りができると思う」と語る指揮官の下、選手たちはインターハイ直後から気持ちを切り替えてこの選手権に向かってきた。

 日本一に立った直後は疲労やメンタル面の維持などに苦慮して結果が出なかった時期がある。それでも、西川が「『謙虚に一からやっていこう』という話をして、そこからチームとして勢いがより増して来て、いい状態にある。(U-17ワールドカップ後に合流した際は) みんな活気立ってやっていました。(むしろ、出発前に)自分がいた時よりも、エネルギーが満ち溢れていた」と振り返るように、選手たちは自分たちで立て直し、より欲とエネルギーを持って選手権予選に臨んでいる。

 夏に主力組ではなかった選手による底上げもある。MF所新太郎(3年)が「今の3年生は1、2年生の時にBチームとかで悔しい思いをしてきた人が多くて、『この舞台に立ったからには』、という思いをしている。夏悔しい思いをした分、今回は『オレがいないと優勝できなかっただろうくらいに思い切ってプレーしていきたい』」と語り、エース西川も「高校3年間の中で最後の大会なので良い締めくくりができれば良いかなと思っています。去年も相当悔しかったので、その借りを返したい気持ちと、最後なのでこのチームと(長く)やりたい気持ちがあります」と気合十分だ。それぞれの思いを持って目指してきた冬の日本一。それを達成するためにも、まずは全力で神奈川決勝を突破する。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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