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したたかに重ねた3ゴール。福岡大が前回王者・法政大への挑戦権獲得!

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2点目を決めたFW井上健太

[12.11 大学選手権1回戦 福岡大3-0北海道教育大岩見沢校 柏の葉]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)は11日、1回戦を各地で行い、柏の葉公園総合競技場の第2試合は、福岡大(九州1)と北海道教育大岩見沢校(北海道)が対戦。北海道教育大岩見沢校もシュート数では上回るなど健闘したが、MF大熊健太(4年=FC東京U-18)、FW井上健太(3年=立正大淞南高)、FW今田源紀(3年=九州国際大付高)と3人のアタッカーが効果的に得点を重ねた福岡大が、3-0で勝利を収めた。14日の2回戦では、前回王者の法政大(関東4)と対戦する。

「前に進む勢いが想像していた以上に強かったので、結構押し込まれたなという感じでしたね」と福岡大を率いる乾真寛監督が口にした通り、岩教大は最前線の下田友也(3年=札幌U-18)の馬力を生かして、序盤から攻勢に。前半12分には裏へ抜け出した下田が決定的なシュート。ここは福岡大のGK真木晃平(3年=大分U-18)がファインセーブで回避するも、まずはあわやというシーンを創出する。

 ところが、先にスコアを動かしたのは福岡大。前半17分に左から井上が上げたクロスを、ファーでFW梅田魁人(4年=高川学園高)が折り返すと、「うまく自分の所にこぼれてきたなという感じでした」と笑った大熊が頭でプッシュ。ボールは右スミのゴールネットへ吸い込まれる。「サイドからサイドという展開が綺麗に決まりましたね」と指揮官も納得の一撃。ファーストシュートを成果に繋げた福岡大が先制した。

「今日は集大成だから、普段練習していることをそのまま全部出せと話しました」と越山賢一監督が明かした岩教大は、35分にセンターバックの泉山凌馬(3年=盛岡商高)が右へフィードを通し、FW中本峻平(4年=広島観音高)を経由してDF忠政慶之(4年=岡山U-18)がクロスを送るも、下田のシュートはわずかに枠の右へ。シャドーの遠藤祐馬(4年=大阪桐蔭高)と縄田脩平(1年=浦和ユース)も積極的にボールへ関わりつつ、パスワークとドリブルの融合した好アタックを連発させながら、1点のビハインドで前半の45分を終える。

 ハーフタイムを挟むと、次に得点を記録したのも福岡大。後半3分。熊本入団内定のMF河原創(4年=大津高)がスルーパスを繰り出し、走った井上がエリア内でGKともつれて転倒。主審はPKのジャッジを下す。これを井上自ら冷静にグサリ。乾監督も「井上には『ああいうふうにラインを上げてくるので、裏を狙って待ってなさい』という感じで伝えて、それがまんまと突破に繋がりましたね」としてやったりの表情。点差は2点に開く。

 追い掛ける岩教大はツキにも見放される。12分に泉山が鋭く狙った直接FKは、クロスバーにヒット。23分にも縄田の右FKがこぼれると、下田が打った決定的なシュートはわずかにサイドネットの外側へ。さらに27分にも鈴木理久(3年=札幌U-18)の右CKから、ここも下田のシュートは寄せたDFに当たり、クロスバーを直撃。どうしてもゴールネットを揺らせない。

 ただ、見逃せないのは最後まで体を張り切れる福岡大の勇気ある守備。キャプテンを務めるセンターバックの饗庭瑞生(4年=立正大淞南高)は、「シュートを打たれたら終わるというぐらいの距離の3対3だったりを練習してきていて、打たれそうになっても何人かが束になってスライディングするような部分は本当にしつこくやっているので、ボックスの中に関しては自信があります。結局そういう所が勝負を分けたりするので、その強みが全国大会になると凄く出るなというのも毎年感じます」ときっぱり。右から阿部海斗(2年=鳥栖U-18)、菅田真啓(4年=国見高)、饗庭、前野翔伍(3年=長崎総科大附高)で組んだ4バックに、田中純平(2年=長崎総科大附高)と河原を加えた守備ブロックは高い集中力を保ち続ける。

 すると、トドメの3点目は39分。相手CKの流れを奪うと、福岡大のカウンター発動。「かなり体力的にはしんどかった場面だと思いますけど、しっかり走りましたね」と乾監督も評価した大熊が左サイドを運んでクロス。途中出場の花田佳惟斗(4年=興国高)は左ポストにぶつけるも、同じく途中出場の今田がきっちり流し込む。守っても「押し込まれる状況になっても、ピッチの中で『無失点で終わろう』という声が出ていて、そこは共通意識としてプレー全体に出ていたので、今後に向けて凄く良い要素だなと感じました」と饗庭も胸を張ったようにクリーンシートを達成。福岡大のしたたかさが際立った90分間だったと言っていいだろう。

 ディフェンディングチャンピオンの法政大と激突する次戦に向けて、「とにかくJより強い法政大学なので」と笑った乾監督は、続けて「こっち側が主導権を握る展開になることは100パーセントありませんから、しっかりボールは握ってもらって、主導権も握ってもらって、終わったら福大が勝っているなと。もうそれしかないです。でも、ウチは強い相手には強いですよ」とニヤリ。知将の中には既にハッキリとしたプランが練り込まれているようだ。

 ここ2大会は共にベスト8で敗退。饗庭も「“エイト”の所を超えて、4つに入って行くというのを1年間目標にやってきましたし、今年の大臣杯もまた“エイト”で負けてしまったので、今回はそこを超えていきたいなと。次の法政戦が凄く難しい試合になるのはわかっているんですけど、去年も2回戦で明治を倒したように、自分たちのサッカーをして勝てれば、その先の可能性もあるんじゃないかなと思います」と決意を口にする。目指すは全国4強とその先の景色。相手が前回王者といえども、彼らに怯む気持ちは微塵もない。

 最後に一言触れておきたいのは岩教大の奮闘。試合終了直後に、越山監督がピッチの選手たちへ拍手を送る光景が印象的だった。実は今年での退任が決定しており、そのことは選手たちにも報告済み。「本当に感動するゲームだったなと思います。僕にひと花持たせたいというか、そういう気持ちもきっとどこかにあったんだろうなと。いいチームでしたよ。自慢できるチームです」と少し寂し気に教え子たちを称える。

「結果は0-3ですけど、ゲーム内容から言えば全然恥ずかしくないというか、本当に良い見本になるようなゲームだったかなと。今度は北海道でこういうゲームを常にやれば、高校生や大学生がみんな『岩教に追い付け、追い越せ』になっていくんですよね。それを北海道のレベルアップに繋げることが、教育大学の1つの使命かなと思います」と言葉を重ねた越山監督。彼らが全国の舞台に刻んだ様々な“想い”が、今後へ受け継がれていくことを願ってやまない。

(取材・文 土屋雅史)


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