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「こんな強いチームがあったんだな」前原の2年生GK中山、8失点も気迫のセーブ連発

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8失点も好セーブが光った前原GK中山音弥(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.30 選手権開幕戦 國學院久我山高 8-0 前原高 駒沢]

 最後まで気持ちを切らさなかった。前原高(沖縄)は開幕戦で8失点。勝敗はほぼ決した中でも8点ビハインドの後半33分、FW山本航生(3年)のシュートをGK中山音弥(2年)が弾き出すと、同38分の山本航のボレーシュートも守護神が左足で止めるファインセーブを見せた。

「もっと自分たちのサッカーができるかなと思ったけど、レベルの高さを感じた。パスの速さ、ドリブルのキレ、切り返しとか、シュートの速さ、コースもレベルが高かった」。打たれたシュートは80分間で26本。そのうち8本を得点につなげられ、「こんな強いチームがあったんだなと思った」と率直に打ち明けるが、試合を通して2年生守護神の好セーブも光った。

 それでも「勝てなかった時点で満足できない。止めた数も多いけど、失点の数も多い」と悔やむ。スタメンのうち下級生は中山とMF新里美雅(2年)の2人のみ。それ以外の3年生はこれが“引退試合”となった。「3年生の先輩はずっと自主トレにも夜遅くまで付き合ってくれていた。そういうのがなくなるのは寂しい」と声を落とす。

「後半の終盤は『楽しもう』と声をかけ合いながらやっていた。最後まで悔いなく、あきらめずにやろうと」。最後までゴール前に立ちはだかった中山はタイムアップのホイッスルが鳴ると、人目をはばからず涙した。「自分たちの代になってもまたここに戻ってきたい。この悔しさをバネにして練習から頑張っていきたい」。1年後のリベンジのため、前原の、そして中山の新たなチャレンジが始まる。

(取材・文 西山紘平)
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