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敗戦から歩み、“らしさ“を進化させてきた國學院久我山が注目の開幕戦で「8-0」

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國學院久我山高は注目の開幕戦で8-0快勝。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.30 選手権開幕戦 國學院久我山高 8-0前原高 駒沢]

「1試合なのは決勝と開幕戦だけ。一番注目されると思っている」。國學院久我山高の清水恭孝監督は、開幕戦の重要性を選手たちに伝えていたという。全国高校サッカー選手権で開幕戦と決勝戦だけが1日1試合。高校サッカーファンから注目される開幕戦で、國學院久我山はFW山下貴之(3年)とFW山本航生(3年)がいずれも3得点を記録するなど圧巻の8ゴールを叩き出した。

 訪れた人々に「来た甲斐があった」と言われるような試合をすることも彼らの目指すところだ。この日は個でDFをいなし、グループのパスワークで崩すサッカーを存分に発揮。加えて、守備の奪い返しの部分や泥臭くこぼれ球をゴールへ押し込むところなど含めて力強さがあった。

 そのチームは夏からより逞しいチームに成長している。優勝候補の呼び声もある中で迎えたインターハイは、初戦で神村学園高(鹿児島)に逆転負け。慢心があった訳ではないだろうが、この敗戦はチームが変わるきっかけになった。

 清水監督は「今年は負けてから歩むのができるチーム」と説明する。久我山と言えば「美しく勝て」。だが、山下は「(インターハイの敗戦後)チームのみんなで話し合って、勝つためには上手さの前に戦う気持ちや球際、1対1が絶対に大事になってくるので、重きを置いている」という。
 
 國學院久我山は勝つためにボールを大事に繋いでいるが、それだけに徹するのではなく、相手によっては背後を狙う戦いや守備意識高く戦うことも必要。攻撃心旺盛な姿勢は変わらないが、相手に応じて変化しながら色々な戦いができるチームになってきている。

 22日のプリンスリーグ関東参入戦で湘南U-18に3-4で競り負けたが、そこから切り替えて選手権に入り、セットプレーも含めた多彩な攻撃で8得点。2年生でエース番号の「14」を背負うMF田中琢人(2年)は「セットプレーとかでもきょう1点決めたし、裏の一本のスルーパスでも、足元だけじゃなくてダイナミックな動きとか攻撃のバリエーションが今年は多いので、全国で通用すると思う」と胸を張る。

“久我山らしさ”を進化させたチームになってきている國學院久我山。清水監督は今後の戦いへ向けて「目の前の相手に対してどれだけ変化できるか。それが出れば良い」と期待する。「全国の借りをより大きな場所で返すしか無い」と敗戦から歩んできた國學院久我山が、変化しながら戦うことのできる強みも発揮して、一戦一戦頂点まで勝ち上がる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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