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[MOM3101]静岡学園MF井堀二昭(3年)_芸術FKから弾丸ミドル2発でハット達成「人生でたぶんない」

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静岡学園は前半29分、MF井堀二昭が直接FKで先制点を決める(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権1回戦 静岡学園高 6-0 岡山学芸館高 駒沢]

 岡山出身の“伏兵”が圧巻のハットトリックで静岡学園高(静岡)を大勝発進に導いた。4-5-1のインサイドハーフで先発したMF井堀二昭(3年)は0-0の前半29分、PA左手前、ゴールまで約25mの距離から鮮やかな直接FK弾を叩き込む。5バック気味に守備を固めた岡山学芸館(岡山)の堅守をこじ開ける価値ある先制点となった。

「蹴った瞬間に入ったと思った。壁がそんなに高くなくて、枠に行けば入ると思っていた」。5枚の壁を越えてゴール左上に吸い込まれる芸術弾。岡山学芸館の高原良明監督も「セットプレーの一発が痛かった」と唇を噛む。相手の5バックを攻めあぐねる展開の中、井堀は「相手が引いていたので、セットプレー、自分のキックで崩していこうと思っていた。FKを決められて、勢いがこっちに来た」と自画自賛した。

 前半34分にMF小山尚紀(3年)のゴールでリードを広げると、2-0で折り返した後半6分、MF藤田悠介(3年)の横パスを受けた井堀が右足を振り抜き、ゴール左隅に突き刺す追加点。さらに同11分にもMF松村優太(3年、鹿島内定)の右クロスのセカンドボールをPA手前の井堀が右足ダイレクトで振り抜き、強烈なミドルシュートを叩き込んだ。

 直接FKに弾丸ミドル2発で「人生の中でもたぶんない」というハットトリックを達成した。これには静岡学園の川口修監督も「そんなにシュートがうまい選手でも遠目から打つ選手でもない」と驚きを隠さない。「彼は岡山出身で、(岡山県代表との試合で)爪痕を残すにはどうしたらいいか。それはゴールだと。前が空いたら打とうという覚悟を持ってやってくれた。今日は特別燃えていたと思う」と、その胸の内を代弁した。

 岡山出身の井堀は中学時代、Jフィールド津山でプレー。岡山学芸館のFW岡田知也(3年)、MF山田龍之介(3年)、DF森井麻央(3年)らは岡山県選抜でチームメイトだった。「中学のときのチームが(静岡学園と)同じようなスタイルで、5年前の東福岡との試合を見て、ここに来たいと思った」。静岡学園が8強入りした14年度大会。当時中学1年生だった井堀は、2回戦で東福岡に3-0で快勝した試合をテレビで見て、静岡への“越境入学”を決意したという。

「岡山出身の自分が岡山県代表相手にハットトリックできてうれしい。絶対にやってやるという気持ちだった」。そう振り返ると、「普段はあんまり打たないけど、今日は積極的に打とうと思っていた。(相手が引いていた分、)今日は前が空いていた。予選で点を取れなくて、練習後にシュート練習をやっていた。決められて良かった」と会心の笑みを見せた。

 試合後にはピッチ上で対戦相手の旧友から「頑張れよ。絶対優勝しろよ」と声をかけられた。さらにロッカールームにはこの日観戦に訪れていた同校OBのFW三浦知良(横浜FC)もサプライズ登場。「おめでとう。次の試合も頑張って」と激励を受けた。相手からのエール、そして偉大なレジェンドからの言葉も胸に、来年1月2日の2回戦では丸岡(福井)と対戦する。

(取材・文 西山紘平)
●【特設】高校選手権2019

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