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先発8人残る龍谷は雪辱へ…「指導部」所属MF石橋啓士が一矢報いる「また来年戻ってきたい」

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一矢報いたMF石橋啓士(2年)(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.31 選手権1回戦 専修大北上3-1龍谷 NACK]

 前半の失点が重くのしかかった。2年連続の選手権出場を果たした龍谷高(佐賀)だったが、今年度は初戦を突破できなかった。堅守を破られて風下の前半に3失点すると、風上に立った後半は押し返したが、反撃は及ばず。ただし、スタメンは1年生が4人、2年生が4人という若いチーム。ピッチに立った主力8人はこの経験を生かし、一年後のリベンジに向かう。

 技ありのコントロールショットで一矢報いたMF石橋啓士(2年)は「チームに足りないもの、自分の課題に取り組んで、また来年ここに戻ってきたい。次はいい結果を残せるように来年も頑張ります」と凛とした佇まいで言い、雪辱を誓った。チームのためにプレスバックを怠らず、ハードワークを完遂。スプリントを繰り返して相手の隙を狙い、チャンスを仕留めた。

 後半27分だった。隙を突いて右サイドから中にポジションを取ると、MF大石遼馬(2年)のスルーパスを引き出す。抜け出した石橋は右足トラップから左足に持ち替え、ゴール右隅に突き刺した。利き足ではない左足の巧みなゴール。「左足」はこの選手権に向けて、県予選後に練習を積んできた、努力の賜物だった。

 成長を実感している場はピッチ外にもある。龍谷を率いる元Jリーガーの太田恵介監督は今年、サッカー部の中に7つの「部」を設け、1、2年生がそれぞれ所属している。石橋の「指導部」には約10人が所属し、サッカースクールのコーチを手伝って子どもたちに指導。視覚に障害を持った盲学校の生徒にブラインドサッカーを教える機会もあり、地域と関わりながら貴重な経験を積んできた。

「子どもや目が見えない方には説明が伝わりにくいので、話し方はそこで学びました。コミュニケーションをとることが大事なので、やり方を工夫します。人間性が磨かれて、コミュニケーション能力が高くなったと思います」(石橋)。ピッチ外の活動を通しても選手たちが成長を遂げる龍谷は一年後、さらに逞しくなって選手権の舞台に帰ってくるはずだ。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2019

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