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“無失点V”王手も打ち合い歓迎! 静岡学園が「高校年代のラスボス」との決戦へ最終調整

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最終調整を行った静岡学園高の選手たち

 静岡学園高は第98回全国高校サッカー選手権決勝を翌日に控えた12日、さいたま市内で約1時間半にわたって最終調整を行った。前日の準決勝出場選手はボールタッチやセットプレーの確認で軽く汗を流し、控え選手は2対1の攻撃練習を実施。ときおり笑顔も見られるなど、リラックスムードで進行していた。

開始前には川口修監督が指示

 準決勝の矢板中央高戦では、緊迫した展開の中で後半アディショナルタイムにMF松村優太(3年)が先制点のPKを沈め、1-0の劇的な勝利を挙げた。1回戦から準決勝まで、5試合では16得点0失点という驚異的な成績を記録。決勝戦では史上4校目となる無失点優勝に王手がかかっている。

MF松村優太(3年/鹿島内定)

 そんな静岡学園を待ち受けるのは前回王者の青森山田高だ。今季は高校年代最高峰のプレミアリーグファイナルも制しており、FW岩本悠輝(3年)の「高校年代のラスボスみたいな存在」という表現がふさわしい存在。両校優勝だった1995年以来、24年ぶりの戴冠を目指す技巧派集団にとって、真価も問われる相手となる。

MF井堀二昭(3年)とMF小山尚紀(3年)

 伝統の攻撃的なスタイルに加え、堅守も光る今大会の静岡学園。それでも守りに入るつもりはない。川口修監督は「ウチは守備のチームじゃないので、自分たちのストロングで勝負するしかない」ときっぱり。DF阿部健人主将(3年)も「無失点は目標だけど、攻撃を活性化させるために良い守備が大事になる」とチーム内の優先順位を語っている。

DF阿部健人(3年)ら主力陣

 したがって、青森山田戦でも相手のカウンターを恐れることなく、ショートパスとドリブル主体のスタイルで打ち合いも辞さない構えだ。「ウチはボールを持たないと勝機はない。ボールを持たせてもらえなかったら勝てない」。そう語った指揮官は「自分たちの力を信じてやるしかない。スタイルを崩すと持ち味は出ない」と力強く言い切った。

GK野知滉平(2年)

 青森山田は2回戦からのシードだったのに対し、静岡学園は1回戦から5試合を経験。ゲームを重ねたぶんだけ選手たちの消耗は激しい。それでも前回優勝時の井田勝通監督(現・総合監督)から「コンディションだけしっかりやれ」とアドバイスを受けた指導陣は、戦術練習を避けてリカバリーに注力。実戦らしいメニューは選手主導のセットプレー確認のみにとどめた。

決戦前日もリフティングなど静学らしいメニューを消化

 静岡学園にとって24年ぶりの悲願は、サッカー王国・静岡にとっての悲願でもある。直近5年間で初戦敗退を喫していた県勢は1995年度の静岡学園以来、全国の頂点に立てていない。「ここで優勝して、静岡のサッカーが全国から見られている目線を変えたい」(阿部)。静学の伝統と、王国の誇り—。緑と黄色の選手たちは大きな後押しを背に決戦へ挑む。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2019

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