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[新人戦]藤枝明誠が常葉大橘に4発逆転勝ち。静岡決勝は藤枝ダービーに

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後半アディショナルタイム、藤枝明誠高はMF中逵晃がダメ押しゴール

[2.1 静岡県高校新人大会準決勝 常葉大橘高 1-4 藤枝明誠高 愛鷹多目的G]

 静岡決勝は藤枝ダービーに――。1日、令和元年度静岡県高校新人大会準決勝が行われ、常葉大橘高藤枝明誠高が対戦。藤枝明誠が4-1で逆転勝ちした。藤枝明誠は、2日の決勝で藤枝東高と戦う。

 ミスからの失点を挽回して4発逆転勝ち。8年ぶりとなる決勝進出を果たした藤枝明誠だが、松本安司監督は「勘違いしてもらったら困る。勝ち方がないと、(静岡)学園みたいになれない。中身がない」と厳しかった。ゴールは全てセットプレーやショートカウンター、速攻によるもの。ボールを後方から繋いで、相手の守りを攻略して奪った得点ではなかったからだ。

 選手たちにも慢心は無し。2得点を演出したMF横山良唯(2年)は「自分たちはそこまで強いチームじゃない。(16年度に選手権予選で)優勝した時の代の方が強い。自分たちは謙虚にやるだけです」と気を引き締めていた。

 互いに後方から丁寧にボールを繋いで攻めるスタイル。押し気味に試合を進めていた藤枝明誠は、10分に今大会9ゴールの俊足FW小林洸(2年)がDFラインの背後へ抜け出すが、常葉大橘GK山田純誠(1年)が好反応でストップする。

 一方でビルドアップの途中でミスが散発していた藤枝明誠はそのうちの一つが失点に直結してしまう。19分に自陣でミスパス。難なくインターセプトした常葉大橘は、MF難波空良(2年)が素早くPAへボールを入れる。そして、MF平岡脩造(2年)が右足ボレーで先制点を叩き出した。

 だが、藤枝明誠はセットプレーで同点に追いつく。25分、横山の左CKをCB増田七翔(1年)が豪快にヘッドで決めて1-1。その後、常葉大橘はMF石田朋樹(2年)がDFライン近くまで下りてビルドアップに参加しながらボールを動かし、スペースへ抜け出す難波がクロスまで持ち込む。藤枝明誠はプレッシングが単発となり、後手に回ってしまっていたものの、GK市川泰壱(2年)中心に凌いで前半を折り返した。

 常葉大橘は後半立ち上がりにCB上村龍太郎(1年)が接触プレーで負傷退場するアクシデント。一方で藤枝明誠はベンチから守備面を指摘され、修正したことで押し込む時間帯を増やす。そして、セットプレーやその流れからMF島尻智貴(2年)がシュートを連発すると22分、横山の左CKが相手のオウンゴールを誘って逆転した。

 常葉大橘は相手に蓋をされているような状況でも強引に繋ごうとしていたが、そこを狙われてボールロスト。そして、ショートカウンターから決定機を作られてしまう。31分には右サイドから切れ込んだSB深谷光太郎(1年)の左足コントロールショットが藤枝明誠ゴールを脅かしたが、ボールはクロスバーをヒット。逆に藤枝明誠が次の1点を奪う。

 34分、MF賀茂大紀(2年)の縦パスで右サイドを抜け出したFW高野雷我(2年)がスピードに変化をつけながら単騎で中央へ潜り込む。そして、左足シュートをゴール左隅に突き刺した。さらにアディショナルタイムにも敵陣でのインターセプトからいずれも交代出場のMF渡辺翔太(1年)、MF世古口瑠偉(2年)と繋ぎ、最後はMF中逵晃(2年)が右足シュートをゴールに流し込んだ。

 後半の3得点で突き放した藤枝明誠が4-1で勝利した。プリンスリーグ東海を戦う藤枝明誠は09年度に選手権初出場で8強入り。3年前には、FW藤本一輝(現鹿屋体育大)を中心に爆発力のあるチームで2度目の選手権出場を果たした。

 松本監督は「(自分たちは)上を食わないといけないチーム」と評していたが、継続して静岡上位に顔を出し、今大会は5試合で27得点を叩き出して8年ぶりの決勝進出。県選抜候補の練習会でともにプレーした静岡学園高の選手たちが日本一に輝いたことで選手たちもまた刺激を受けている。昨年からレギュラーが大きく入れ替わり、これからのチームだが、高いモチベーションを持ってあと1勝。藤枝ダービーとなった藤枝東との決勝で名門を“食って”一つ自信をつける。 

(取材・文 吉田太郎)

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