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[東京都CY U-17選手権]「Jクラブに噛み付く」チームへ。FCトリプレッタユースが高橋決勝弾で大森FC U18撃破

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後半38分、FCトリプレッタユースは10番FW高橋玄が決勝ゴール

[2.2 東京都CY U-17選手権決勝L FCトリプレッタユース 1-0 大森FC U18 東京ガス武蔵野苑多目的G]

 2019年度第21回東京都クラブユースサッカーU-17選手権大会は2日に決勝リーグ最終節を行い、FCトリプレッタユースが1-0で大森FC U18に勝利。トリプレッタはグループB3位で大会を終えた。

 引き分けると、得失点差で大森FCのグループ3位が確定する状況。だが、街クラブの強豪、トリプレッタが試合終盤の決勝点で順位を逆転させた。後半38分、トリプレッタは右サイドから仕掛けた10番FW高橋玄(2年)がFKを獲得する。これを左SB大塚瀬南(2年)が左足でゴール前へ入れると、CB有馬純平(2年)が豪快ヘッド。最後はこぼれ球を高橋が右足でゴールに押し込んだ。

 大貫雅之監督から失点しないこと、焦れずに戦うことを求められていた選手たちはタスクをしっかりと果たして1-0勝利。高橋は「なかなかシュートまで行けなかったけれど、最後点取れたのはリーグ戦に繋がるかなと思います」と前向きに捉えていた。

 Jクラブユース勢や三菱養和SCユース、東京武蔵野シティFC U-18に次ぐ街クラブとして決勝ラウンド常連のトリプレッタだが、簡単な内容の試合ではなかった。序盤の得点で先行し、自分たちのテクニックを活かしてゲームをコントロールしたかったものの、勢いのある大森FCからなかなか決定機を作り出すことができない。

 27分には大森FCがビッグチャンス。中盤で推進力のある動きを連発していたMF加藤蓮(2年)が中央から相手の守りをこじ開けて抜け出す。そして右足シュート。大森FCはやや押され気味の展開ではあったものの、ボールを動かす部分でも健闘して食い下がっていた。

 トリプレッタも中盤でバランスを取りながら前に出る強みを持つMF西山周杜主将(2年)やMF研谷孔輝(1年)、MF内田昂太(2年)がボールに絡みながら前進し、右SB大屋大和(1年)のラストパスからシュートシーンを作り出した。後半も研谷や交代出場MF田口和誠(1年)のゴール前へ飛び出す動きやセットプレーから決定機を作り出したが、大森FCもCB地頭方輝(2年)やGK重盛地球(2年)を中心に各選手が集中してゴールを守る。

 大森FCは引き分けを良しとせずに勝ちに行く。前がかりになった相手に対し、隙を突く形で攻め返すなど後半半ば以降は一進一退の展開。その中で大森FCは加藤や交代出場の大型FW高橋利帆(中2)のラストパスからFW近野凌太(1年)が抜け出しを狙うなど、トリプレッタゴールを脅かす。

 32分には加藤の左FKをファーサイドの地頭方が折り返し、CB桑田太一(1年)が飛び込む。だが、トリプレッタGK福山大輔(1年)が阻止。大森FCの加藤は「僕も仕留められるチャンスが前半の方にあったので、そこで1本決められていたら前半リードで終えられたかもしれないし、チームを勝たせられたかなと思っています」と悔しがったが、先手を打てなかった大森FCは悔しい敗戦となった。

 トリプレッタは街クラブの普及と発展を目的として開催されているTown Club CUPで日本一に輝くなど街クラブの強豪チームの一つだ。「Jクラブに噛み付くのが役目」(大貫監督)。この東京U-17選手権や日本クラブユース選手権関東予選などでJクラブと接戦を演じるなど存在感を放ってきた。

 今年の東京U-17選手権はFC東京U-18に0-5、東京Vユースに0-4で敗戦。だが、西山は「J下部のチームとやるとどうしても守備目になってしまうんですけれども、攻撃のところで短い時間でも自分たちの色を出せれば全然やれると思う」という。その時間を増やして勝負できるチーム、勝つチームになることが目標だ。

 個々のボールコントロール技術の高さや判断力を駆使しながら攻め勝つスタイルは今年も変わらない。大貫監督は「(FC東京U-18や東京Vユースのような)良い相手に対しても前向いて剥がしていきたい」と語り、西山は「今までの先輩以上に自分たちの代は何かやらないといけない。もっと練習量を増やして質高くやりたい」と力を込める。

 目標を達成することは容易ではないが、トリプレッタイレブンの「打倒・Jクラブ」への思いは強い。高橋が「自分とかも中学の時にセレクションで落ちたりして高1の時からここ(トリプレッタ)でJを倒せればなと思っていました」と語るように、明確な目標を持つ街クラブが自分たちのテクニック、質をレベルアップさせてクラブユース選手権予選やJユースカップで「Jクラブに噛み付く」。

(取材・文 吉田太郎)

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