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東京Vの“報復蹴り”発端に8分間中断…JFA審判委「改善してスムーズな試合運営を」

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東京V対琉球

 日本サッカー協会(JFA)は3日、報道陣向けのレフェリーブリーフィングを開き、8月8日に行われたJ2第10節・東京ヴェルディFC琉球戦で問題となった8分間にわたる中断劇の経緯を明かした。

 0-0で迎えた後半38分、発端は東京Vゴール前の空中戦を琉球のFW上原慎也と東京VのDF高橋祥平が競り合った場面だった。両選手がピッチに倒れ込むと、乗り掛かられた形となった高橋が上原の腹部に報復気味に蹴りを入れ、先立圭吾主審はプレーをストップ。副審と協議した上で高橋にイエローカードを提示し、琉球にPKを与えた。ところが騒動はここで収まらず、東京Vはベンチも含めて猛抗議。第4審をも交えた話し合いを行った結果、8分間にわたって試合が中断した。試合はこのPKをFW阿部拓馬が決めた琉球が1-0で勝利した。

 JFA審判委員会トップレフェリーグループマネジャーを務める扇谷健司氏の説明によると、主審は「次のプレーに移っていた」ため高橋の行為を目にしていなかったが、副審が蹴りを入れていた場面を目視していた。ビデオで確認すれば退場に値する行為に見えたが、横アングルでは蹴りが入った部位や強さが判明しなかったため、副審は「最低でもイエローは出さないといけない行為」と助言。主審がイエローカードを提示したという。扇谷氏は「われわれは退場と考えている」とカードの色については異なる見解を示したが、ファウルを見逃さなかったことについて「副審の素晴らしいサポートがあった」と称えた。

 一方、中断の原因となったのはここからの流れだった。主審と副審は高橋の行為がアウトオブプレーかインプレーかについて「2人で共通の見解を出せなかった」(扇谷氏)という。もしインプレー中であれば、高橋の行為を受けて琉球にPKが与えられ、もしアウトオブプレーであればプレーが止まった時点の手続きが採用される。したがってカードの色とは別論点で、試合結果に大きな違いが生じることになる。

 主審と副審はこの判断に慎重を期した結果、第4審も交えて協議を実施。インプレーであったことを確認し、琉球にPKを与えるという最終決定を行った。試合映像を見ると高橋の行為の後にホイッスルが吹かれているため、結果的には正しい判断だったが、扇谷氏は「PKで再開できたのは評価されるべき。ただ8分間という時間が経った。これを改善してよりスムーズで、選手や見ている方にストレスのない試合運営をしないといけない。よかった部分と課題になる部分の二つがあった」と振り返った。

(取材・文 竹内達也)
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