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地元出身者と関東から進学の選手たちが融合。帝京五が4年ぶりに愛媛4強入り!

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前半33分、帝京五高はMF丹羽一心が先制ゴール

[10.24 選手権愛媛県予選準々決勝 帝京五高 2-0 新居浜工高 GF新居浜B]

 第99回全国高校サッカー選手権愛媛県予選は24日、準々決勝を行い、帝京五高と新居浜工高が対戦。前後半に1点ずつ奪った帝京五が勝利した。

 目指すは5年前に進んだ決勝の先。初の全国大会出場を目指す帝京五が力強い戦いぶりで31日に行われる準決勝進出を決めた。「この大会はとにかく結果が全て」と口にするのはチームを率いる植田洋平監督。国見高、国士館大の点取り屋でMF小野伸二(現・FC琉球)や稲本潤一(現・SC相模原)らと共に黄金世代の一員として世代別代表を経験した人物だ。南国高知FCで引退した後に2009年から、帝京五の監督に就任。ゼロからのチーム強化を進め、2015年には選手権予選で決勝進出を果たしている。

 当時は地元・愛媛や近県の選手が主体だったが、更なる上を目指して大学時代のツテを頼り、神奈川県など関東の選手を積極的にスカウト。地元出身者と融合した新生・帝京五を目指したが、2017年以降はベスト8の壁を破れずにいた。そのため、準々決勝突破に懸ける想いは強かった。

 攻撃陣には神奈川の街クラブのエース格が揃っているため、足元勝負には自信がある。実際、県1部リーグでは技術を前面に出した戦いを展開するが、選手権など負ければ終わりのトーナメントではスタイルが異なり、「完全に割り切っていた」(植田監督)。シュートは打てなかったが、前半7分にMF金坂圭隼(2年)のスルーパスからMF大宮真志斗(2年)がゴール前に抜け出すなどシンプルに相手DFの背後を狙い続けた。12分にもGK小林竜海(2年)のロングフィードから、FW高橋遼伍(2年)がPA内に侵入したが、タッチが大きくゴールは奪えなかった。

 序盤から帝京五が押し込む場面を作ったが、県1部リーグの対戦では新居浜工が2-0で勝利している通り、力の差は大きく変わらない。新居浜工はDF坂田拓也(3年)の的確なカバーリングでピンチを防ぎ前線に展開すると、FW鴻上琉(3年)の力強い突破やMF神岡明希(2年)の積極的な飛び出しから帝京五のゴールに迫った。だが、「来たボールに対してラインを下げずに跳ね返すのを意識した」(DF尾上修、3年)。中盤に落ちたセカンドボールもきっちり拾って、ピンチまで持ち込ませない。落ち着いた守備対応とシンプルな攻撃で試合の流れを引き寄せた帝京五は33分に決定機を作り出す。MF甲斐瑛人(3年)が左サイドを突破し、ゴール前へのボールを反対サイドのMF丹羽一心(1年)が合わせてスコアを動かした。

 後半は「上手くいった前半の戦いを続けようと意識した。ラスト10分は守備を固めるかもしれないけど、それまでは点を狙いに行こうと指示した」(植田監督)。MF長谷川大珠(2年)らのパスで相手ゴールを狙い続け、後半11分にはDF大前龍哉(3年)のクリアボールを拾った甲斐が素早く前線に展開。受けた高橋がDFをかわし、2点目を奪った。以降は、「今日はなぜか失点しそうな気がしなかった」と振り返る尾上を中心に守備の集中を切らさず逃げ切りに成功。鬼門だった準々決勝の壁を突破したチームの勢いは確かで、尾上は「この壁を破れたのは大きい。次は済美高だけど、自分たちのサッカーができれば勝てると思う。波に乗って全国に行けるよう頑張りたい」と意気込んだ。

(取材・文 森田将義)
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