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負傷で県予選アウトも…矢板中央を牽引する主将DF坂本龍汰「伝えて、姿勢を示していく」:栃木

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昨年度もレギュラーとして選手権のピッチに立ったDF坂本龍汰(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[11.7 高校選手権栃木県予選準決勝 矢板中央4-2國學院栃木 栃木グ]

 負傷でピッチに立てない状況でも、矢板中央高の主将DF坂本龍汰(3年)は先頭に立ち、姿勢や言動でチームを牽引している。昨年度の選手権はDFライン唯一の2年生レギュラーとして、歴代最高タイの全国4強入りに貢献し、伝統の堅守を受け継ぐ右サイドバック。今年度は主将としてキャプテンシーを発揮する中で、10月末に尚志高との練習試合で鎖骨を骨折する悲運に見舞われた。

「直後は折れているかは分からなかったですが、とにかく痛くて。でも、キャプテンなので情けないことは出来ない」。直前の負傷により県予選は欠場となったが、試合中はベンチ裏から声で鼓舞し、交代で入る選手に助言するなどサポート。試合に出る仲間を信じ、日本一を目指すチームの主将にふさわしい振る舞いを貫く。

 7日の準決勝はスタメンのうち7人をGK藤井陽登ら2年生が占めた。「後輩も『3年生と一緒に全国にいきたい』と言ってくれる。後輩たちのほうが緊張する部分はあると思いますが、試合に出ている選手もベンチにいる選手も、頼りにしています」。坂本はチームの力を引き出せるようにFW多田圭佑(3年)やDF新倉礼偉(3年)とともに日々の練習から「伝える」作業に力を入れている。

 「コロナでインターハイが中止になって、選手権に向けてはこういう公式戦を感じていない選手が多い。自分と多田、新倉は去年から絡んでいるので雰囲気はつかめていますが、ほかの選手はまだつかめてない部分もある。3人でどんどん伝えていって、大会の雰囲気や緊張感を練習中から示しています」

 新型コロナウイルスの感染拡大により前例のない試練のシーズンを強いられたが、精神的支柱となってチームを盛り立てた。コロナ禍や自らの負傷、思うようにいかない局面でも、周りをよく見てチームを高められる、頼もしいキャプテンに成長。坂本の言葉には名門・矢板中央の主将としての自覚と、チームメイトへの信頼がにじみ出ていた。

 大会を前に、昨年度主将の長江皓亮(現東海大)、2年前の主将白井陽貴(現法政大)から激励のメッセージが届いた。今年度は先輩たちから託された「日本一」が目標。「全国で活躍するという姿勢を練習中から示せば、それがチームのモチベーションになると思う。まずは決勝に勝って全国にいきたい」。14日の決勝を制して全国の舞台に舞い戻り、4強の先の景色を見にいく。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2020

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