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高打点ヘッドも炸裂!! 丸岡・飯田晃明は「試合中に改善できる」DFリーダーへ

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丸岡高のDF飯田晃明(3年)

[11.23 プリンスリーグ北信越1位決定戦 丸岡高 4-2 金沢U-18 丸岡スポーツランドサッカー場]

 丸岡高のDF飯田晃明(3年)は、守備力と声でチームを支えるディフェンスリーダーだ。プリンスリーグ北信越の優勝決定戦では、連続失点につながった守備の乱れを的確な指示で修正すると、終盤には自慢の高さを活かしたヘディングシュートで価値あるダメ押しゴールをマーク。初の地域タイトル獲得に大きく貢献した。

「もっとゲーム中にコミュニケーションを取らないと。全国ではうちの弱いところを徹底して突いてくるチームがいるので、そこを消していかないといけない」。丸岡の小阪康弘監督は1か月後に控える全国舞台に向け、現状のチームの伸びしろをそう語る。

 ツエーゲン金沢U-18とのプリンスリーグ優勝決定戦でも、こうした課題は露呈。序盤に先制点を挙げて優位に立ったはずが、相手のダイナミックなカウンター攻撃に守備の連係で後れを取り、カバーリングが間に合わないまま逆転の2失点を喫していた。

 小阪監督はそうした試合中、選手たちに向けて「(ボランチの)小谷が出たらカバーしろ!」「いましゃべることあるぞ!」としきりにゲキを飛ばしていた。しかし、経験豊富な指揮官は「全国ではここまで自分の声が届かない」と憂慮。ピッチ内で自発的に修正していけるチームになることを望んでいる。

 そこで鍵になるのが昨季はボランチも経験し、今季は最終ラインで守備陣を統率している飯田の存在だろう。チームキャプテンはMF川中浩夢(3年)が務めているものの、2年時まで学年リーダーを担ってきた“まとめ役”が飯田。この日も時間を追うごとに飯田が周囲に声を掛ける場面が増え、それに伴ってチームも安定していった。

 一列前のボランチを担うMF小谷武哉(3年)も試合後、次のように振り返っていた。

「ツエーゲンは後ろでボールを持つけど、ボランチを経由してくるのではなく、自分たちが食いついてきたところのスペースを狙ってくる。何本かそれをやられて、あまり食いつかなくてもいいと分かった。ボランチ同士でも話したけど、飯田から食いつくなと言われて分かっていったところがあった」。

 こうした周りを動かす力は、後半36分に決まった自らのダメ押しゴールにも活きていたという。

 前半から相手の長身DF波本頼(2年)のマンマークに遭い、良い形でボールに反応することができていなかったが、この場面ではファーサイドでフリーになった飯田。「点を決めるコーナーの前に、味方の2人の選手に『ニアとファーで挟んでブロックして、俺をフリーにしてくれ』と伝えていた。そうしたらちょうどうまくいって、決めることができた」と手応えとなる一撃を沈めた。

 飯田は1か月後に控える全国の大舞台で、こうした声での影響力を試合序盤から発揮し、チームの失点減に取り組んでいく構えだ。

「FW、MF、DFのスリーラインをコンパクトにして、しっかり全員で守備をしないと失点につながってしまう。とくに今年のチームは点数を取ってすぐに失点することが多く、先生からもそこを言われているので、点を取った後の5分間を意識しないといけない。選手権は1点がカギになるのでそこをしっかりしたい」。

 そうした意識づけは昨年度、激戦を繰り広げてきたライバルからも学んだ姿勢だ。前回大会は優勝チームの静岡学園に3回戦で敗退。「あの試合を見返していてもディフェンス4人の距離感が一定になっていないからスペースを突かれて、思い通りにやられてしまっていた。見えている人が声をかけてやっていかないとああいう格上のチームには勝てない」という反省をいまも忘れてはいない。

 一方、昨年夏の総体ではPK戦の末に勝利した矢板中央高が、選手権準決勝で静岡学園と接戦を繰り広げていたことも脳裏に焼き付いているという。

「格上のチームでもより頭を使って守備すれば、矢板中央のように静学をあそこまで追い詰められる。あれだけの気持ちで僕らは戦っていかないといけない」。そう語る飯田は当時の主将を務めていたDF長江皓亮(現東海大)にも刺激を受けたといい、「リーダーがいるから試合中に改善できている。自分もキャプテンに任せず、後ろから声をかけてやりたい」と意気込んでいる。

 そうして目指すは全国ベスト4だ。関門となる準々決勝では直近4年間で全国高校選手権2度、高円宮杯プレミアリーグ2度の優勝経験を持つ青森山田高のブロックと対戦予定。飯田は「人生で一度やってみたかった」という強敵との一戦を見据え、これからの1か月でさらなる成長を遂げていく。

(取材・文 竹内達也)
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