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中国新人3位決定戦はライバル同士が“魂”の攻防戦。引かずに頑張り、戦い抜いてドロー

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立正大淞南高米子北高は互いに譲らずドロー

[3.15 中国高校新人大会3位決定戦 立正大淞南高 1-1 米子北高]

 第13回中国高校サッカー大会3位決定戦が15日に行われ、立正大淞南高(島根)と米子北高(鳥取)が対戦。1-1で引き分け、ともに3位で大会を終えた。

 両校にとって3日間で4試合目となった3位決定戦。優勝の懸かった一戦ではなく、今後プリンスリーグ中国でも対戦が予定されている。今後の経験のために出場機会の少ない選手を起用する考えもあったはずだが、ともに現時点の主力メンバー同士をぶつける“ガチンコ”の真剣勝負。隣県のライバルとも言える2校の戦いは、まるで決勝戦のように熱く、非常に激しかった。

 序盤、米子北がMF栗原優弥(2年)の仕掛けや右SB原佳太朗(2年)の攻撃参加などからゴール前のシーンを増やす。そして14分、この日相手の裏をかくようなプレーを見せ続けていたFW福田秀人(1年)がPKを獲得。これをエースMF佐野航大(2年)が右足で決めてリードを奪う。

 だが、立正大淞南はすぐにスコアを振り出しに戻す。16分、MF井川真飛(2年)の左CKに走り込んだ左SB加古圭佑(2年)が同点ヘッド。さらに今大会存在感を放ったCB岩本剛気(2年)のヘディングシュートなどで勝ち越し点を狙う。米子北も福田が鋭いターンからゴールを狙うシーンがあった。

 疲れや、相手の鋭いプレッシャーもあったかもしれないが、攻撃の質はともになかなか上がらず。がむしゃらにパンチを打ち合うような展開となった。その中でチャンスも生まれていたが、ともにゴール前での存在感ある立正大淞南GK長野大河(2年)、米子北GK山田陽介(2年)の両守護神の牙城は揺るがない。

 上手く行かない中でも一人一人がハードワークする名門2校の力はさすが。立正大淞南は左SB加古が足を目一杯伸ばして足先でインターセプトしていたほか、岩本やCB伊藤陽翔(2年)も奮闘。米子北も今大会まで公式戦の経験が無かったというMF山中奨(2年)や原、CB鈴木慎之介(2年)らがよく戦い、ゴールを守り続ける。

 後半19分、米子北は佐野のループパスからMF渡部颯斗(2年)が決定的な左足シュート。だが、立正大淞南GK長野のビッグセーブにあい、22分に福田が放った決定的なヘディングシュートも決め切ることができない。25分にも福田が左中間を巧みに抜け出したが、GK長野に足で止められて勝ち越すことができなかった。

 立正大淞南の南健司監督は「頑張りに欠ける年代だったのが頑張れるようになった」。苦しい時間帯でも走り、戦う立正大淞南はMF三原弘稀(2年)が抜け出して左足を振り抜き、セットプレーも合わせて試合を決めに行く。相手GKのフィードにスライディングでプレッシャーをかけるなど、ハードワークは最後まで継続。米子北は相手以上に作ったチャンスを活かすことができなかったものの、球際の攻防戦、ハードワーク勝負で全く引くことなく戦い抜いて1-1で引き分けた。

 南監督はサッカーには2つの勇気があると言い、「ガツガツ行く勇気はあった」と認めた一方、「テクニックで剥がす勇気が無かった」と指摘。今後のトレーニングで自信をつけ、激しいプレッシャーを逆手に取るような技術、判断力を身に付けていく。

 一方、米子北の中村真吾監督は「この強度、疲れた中でやりたいことができないと出ることは難しい」と指摘。その中で予想以上のパフォーマンスをした選手がいたことを認める。だが、準決勝に続き、3位決定戦も勝ち切れなかっただけに「あとちょっとで押し込めるかどうか。ちょっとの差だということを分かって欲しい」。間もなく本格スタートする新シーズン、そして冬へ向けてその一歩、半歩にこだわって個人、チームを強化する。

(取材・文 吉田太郎)

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