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屈辱の9失点。旧友との“再会”で國學院久我山MF森次結哉が感じた想い

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國學院久我山高の注目アタッカー、MF森次結哉

[3.20 イギョラ杯予選リーグ FC東京U-18 9-2 國學院久我山高]

 楽しみにしていたかつての仲間との“再会”は、9-2という衝撃的なスコアを突き付けられる。「自分的にはだいぶ屈辱ですね。僕は(FC東京U-15)むさしでも試合に出れていて、そこからU-18と高校に行く人で分かれたんですけど、9-2は屈辱です」。手応えと、開いた差と。1年時から國學院久我山高(東京)のレギュラーを務めてきたMF森次結哉(新3年=FC東京U-15むさし出身)は、複雑な表情で終わったばかりの70分間を振り返った。

「昨日も何人か仲が良い人と『明日どんなメンバーで来るの?』みたいな連絡をしていました」。FC東京U-15むさしから高体連の國學院久我山に進学した森次にとっては、以前から楽しみにしていた古巣との対戦。「まずここまで来る道も懐かしくて、結構噛み締めてきたんです」。グラウンドを訪れる段階から、気持ちの昂りを隠せない。

 右SB中野創介(新3年)、左SB大迫蒼人(新3年)、MF桜井秀斗(新3年)、MF加藤大地(新3年)、MF谷村峻(新3年)。5人の“同級生”がスタメンに並ぶ青赤のユニフォームを見て、改めて気合を入れ直したものの、試合が始まるとどんどん点差が開いていく。

「9点獲られたら試合にならないですね。攻撃では点を獲られても、もうちょっと点を獲りたかったなというのもありますし、何回か良い崩しはできたんですけど…… 個人としてはミスもほとんどしていないと思うし、1対1も取られていなくて良かったとは思うんですけど、ゴールまで進めなかったというのが悔しい所です」。終わってみれば9-2。個人としての手応えは掴んだものの、いろいろな面で開いた差も痛感せざるを得なかった。

 入学後はサイドバックを任されることが多かったが、今シーズンは逆三角形を敷く中盤のシャドーが主戦場。「僕はずっと“中”をやりたいと思っていたので、そこで出られることは嬉しいですね」と話しつつ、「中盤の3枚で相手ボランチの脇を取れるシステムなので、そこでいかに前を向けるかという所と、崩しにどれだけ参加できるかという所と、点も獲らないといけないポジションだと思うので、ゴールも意識していきたいと思います」と続けた言葉に、久我山スタイルへの自負も滲む。

 目指すはマンチェスター・シティのMFイルカイ・ギュンドアン。「マンチェスター・シティはずっと見ていて、ギュンドアンが点を獲っているじゃないですか。ああいう感じで、個人で行ってシュートというよりもクロスに入ったり、抜き切らずにシュートを打ったりとかできればいいなと思います」。今シーズン一気に得点能力が開花したドイツ代表アタッカーの姿を、自分に重ねている。

「負けたけどメチャクチャ楽しかったです。試合中もニヤニヤしながらやっちゃいました。でも、やっぱり悔しいので、もっと上を目指して練習を頑張って、全国出場に向けてこれからやっていきたいですし、T1リーグ(東京都1部)も優勝を目指していけたらいいなと思っています」。

『美しく勝つ』を体現するために。記憶に刻んだ“再会”から、森次の高校ラストイヤーが始まっている。

(取材・文 土屋雅史)

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