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関学大はびわこ大との天皇杯“大学勢”対決制す! 声援の有難みを噛みしめ…G大阪戦で再びの“ジャイキリ”へ

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関学大がびわこ大との大学勢対決を制す

[5.23 天皇杯1回戦 びわこ大0-2関学大 東近江]

 違うリーグ、違うカテゴリーに所属するチーム同士が対戦するのが天皇杯の魅力のひとつ。だが、布引グリーンスタジアムで行われた1回戦は、ともに関西学生リーグに所属するびわこ成蹊スポーツ大関西学院大の顔合わせとなった。

 互いをよく知るチーム同士、4月24日に行われた関西学生リーグ第2節では関学大が1-0と勝利している。再戦となったこの日は、高橋宏次郎監督が「僕たちが狙っていたことをやれた」と評価したように、関学大が立ち上がりから攻守に勢いあるプレーでびわこ大を圧倒。両サイドの積極的な仕掛けで、テンポよく試合を進める。先制点は前半アディショナルタイム1分過ぎ。スピードを生かしたドリブルでMF輪木豪太(4年=京都橘高)が右サイドを突破し、中央へ入れたパスをFW山見大登(4年=大阪学院大高/G大阪内定)がシュート。びわこ大GK倉原將(1年=鳥栖U-18)の懸命なセーブに遭うも、そのこぼれ球をMF倍井謙(2年=名古屋U-18)が落ち着いて仕留めた。

 対するびわこ大は後半からMF上月翔聖(4年=神戸弘陵高)、FW清水一雅(2年=仙台ユース)をピッチに送り出し、攻撃のリズムを変化させようと狙う。しかし、後半14分、ルーズボールを拾った輪木のパスを受けた山見が、寄せてくるびわこ大DFをうまくかわして、追加点を決める。関学大の足が止まってきた同30分過ぎからは、びわこ大が主導権を握る場面も増えたが、相手の守備をこじ開けることはできないまま、タイムアップとなった。

 勝利した関学大は2018年と同じく2回戦でガンバ大阪に挑む。3年前はスタンドで応援していた主将・DF本山遥(4年=神戸U-18)は、Jの名門チームとの熱戦を「プロに勝てるっていうことに、エネルギーをもらったし、自分たちのチームをとても誇りを感じた」と振り返る。「ピッチもスタンドもひとつになった瞬間を感じた。また再現できたらと思う。すごい先輩たち(G大阪はGK一森純、DF高尾瑠、MF山本悠樹が関学大出身)もいるけど、負けたくない」と意気込む。

 Jリーグチームへの挑戦権をかけて戦っただけでなく、この試合が有観客で開催されたことが両チームにとっては大きな意味があった。今年度の関西学生サッカーリーグは条件付きの有観客でスタートしたが、緊急事態宣言が関西3府県に発令されたことを受けて、現在は無観客開催へと移行。しかも、メディアやスカウトですら入場ができない。ライブ配信、チーム公式SNSでの速報も許可されていないため、応援する人はリアルタイムで状況を追えず、報道を通して選手たちの頑張りを知ることもない。進路を切り拓きたい選手たちも、スカウトに対してアピールすらできないという他地域よりも厳しい状況だ。

 布引グリーンスタジアムに足を運んだ242名という入場者数は決して多いとは言えない。だが、選手たちのプレーを見つめる視線、好プレーに拍手や歓声が送られ、ピッチとスタンドでひとつの場を共有することができた。「ドリブルやテクニックをみせたときにざわついたり、盛り上がってくれるのはうれしい」と話すびわこ大・MF泉柊椰(3年=神戸U-18)のような『観客がいる緊張感』を楽しめるタイプにとっては、モチベーションの高まる要因にもなっていたようだ。びわこ大・望月聡監督は「これが本来の姿。選手も今日こういう環境でできたのはうれしかっただろうし、幸せを感じたと思う」と感謝を口にする。

 関学大・高橋監督が「見てくれている人たちにどういうエネルギーを与えられるかは大事なことですし、サッカーっていうかスポーツの価値がそこにあると思う。そういうものを今日は久々に感じられて、選手もやっていてすごく楽しかっただろうし、僕も楽しかったです」と話す『スポーツの力』を選手たちが改めて感じることのできた日となった。

(取材・文 蟹江恭代)

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