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気持ち高ぶり過ぎて1-0のHTに“ミス”。大阪桐蔭の大黒柱・CB小林柾輝主将はカバーしてくれた仲間たちに感謝

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大阪桐蔭高の守備を支えたCB小林柾輝主将は仲間たちに感謝

[6.12 インターハイ大阪府予選準決勝 興國高 0-1 大阪桐蔭高]

 ハーフタイムの指揮官の檄が大阪桐蔭高を引き締めた。大阪桐蔭は前半、個々の技術力、フィジカルなどで上回る興國高にボールを握られながらも、強度高く集中した守りで要所を封じ、無失点。終了4分前にはMF大倉凜也(3年)のスルーパスからFW高垣佑椰(3年)が右足シュートを決めて先制点を奪った。

 集中した守備からチャンスをモノにし、1-0で前半終了。狙い通りの展開だった。特にCB小林柾輝主将(3年)はピッチの誰よりも戦い、声でもチームを鼓舞。だがハーフタイム、小林は激しい試合で「上手いこと(心を)コントロールできていなくて」普段ならば真っ先にしていたスタッフへの挨拶をしないまま、ベンチに座ってしまう。

 大阪桐蔭は前後半終了時にスタッフへ感謝の挨拶。永野悦次郎監督には「普段の自分じゃない」と映ったようだ。試合内容よりも、その振る舞いについて問い、チームは指揮官から特別な指示を受けないままハーフタイム終了。ただし、最後に「全員で考えてプレーすること」「35分間を大事に戦うこと」だけ求められた選手たちは、普段以上に引き締まり、「(結果的に)普段喋れない選手も、喋るようになりました」(永野監督)

 後半は、「キャプテンである自分が抜けていて……」と反省する小林が普段よりもおとなしい後半となっていたが、「あれで全員引き締まった」と朝山が振り返ったように、選手たちの声は耐えなかった。

 そして、「自分が本来やらないといけない立場、役割を周りの人がカバーしてくれて、その中でまた自分がやらないといけないと自覚が高まった」という小林も試合終盤にかけて奮闘。チームにとって欠かせない存在は得意とする対人守備やヘディングの部分でも身体を張り、チームメートとともに1点を守り抜いた。
 
 この日、チームメートに助けられた小林は、これから常に心を落ち着かせて戦い、恩返しすることを誓う。「(インターハイは)無失点で日本一。チームで失点したら自分のミスというくらいの気持ちで自分はやっているので、ゴールマウスを割らせないと徹底してやっていきたい」。この日の70分間を教訓にし、熱さと冷静さを持って大阪桐蔭を引っ張る。

(取材・文 吉田太郎)
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