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早大数学科とア式の両立…高校選手権優勝DF中谷颯辰「自分は第一はサッカー」

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DF中谷颯辰

[6.26 関東大学L1部第11節 明治大3-0早稲田大 中台運動公園陸上競技場]

「サッカーをもっとやりたいなと思うところもあるけど、今日は勉強をやらないといけないなという日がある。体との相談にもなるし、ある程度慣れてきた部分はあるけど、勉強をもう少し頑張らないといけないなと思っています」

 早稲田大学基幹理工学部数学科に通う2年生。DF中谷颯辰は自分の可能性を信じて、文武両道を追求している。

 名門・静岡学園高出身。高校最後の大会となった第98回全国高校サッカー選手権大会では、決勝で青森山田高を破り、24年ぶりとなる日本一を奪還。中谷は前半終了間際に反撃の1点、そして2-2の後半40分にFKを頭で合わせて決勝点を奪い、一躍ヒーローになった。

 もちろん大学には自信をもって進学してきた。しかしコロナ禍など不運が重なり、正式なア式蹴球部への入部は9月にまで遅れた。さらになかなか試合に絡むことができない日々。高校サッカーとのスピードの違いに戸惑うことも多く、自信を無くしたこともあったという。

 それでも1年生最後の大会となった今年1月のアタリマエニカップ準決勝の法政大戦に途中出場して公式戦デビュー。「そこでまたやれるんじゃないかという自信を取り戻すことができました。また去年の4年生と出れたことでア式を初めて感じることができた。そこで感じたことを今季やっているので、ある程度やれていると思います」。

 5月15日の第6節の駒澤大戦に先発出場して関東大学リーグデビュー。しかし同試合では2失点に絡む痛恨ミスがあり、初陣はほろ苦いものになってしまった。「大学サッカーは甘くない」。身をもって体感したからこそ、慢心することなく取り組むことができている。

 前期最終節となった26日の明治大戦では、3失点して完敗。「後ろとして物足りないし、責任感のなさを感じる。もう一段階チームとしても個人としてもやっていかないと」とまたも気を引き締めさせられる結果となった。「数学科では自分がサッカーに注いでいる熱量を勉強に注いでいる人がたくさんいる。その熱量についていくコントロールが難しいけど、自分は第一はサッカーです」。道は人それぞれ。中谷の進む道は文武両道を貫いた先に見えてくるはずだ。

(取材・文 児玉幸洋)
●第95回関東大学L特集

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