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忘れなかった3年9か月前の悔しさ…4強へ導いたGK谷晃生「挽回するチャンスがきた」

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仲間と喜びを分かち合うGK谷晃生(湘南)

[7.31 東京五輪準々決勝 U-24日本 0-0(PK4-2) U-24ニュージーランド カシマ]

 17年10月17日。今から3年9か月も前のことだ。しかし、当時の悔しさは忘れない。U-24日本代表GK谷晃生(湘南)は「挽回するチャンスがきたなという感じでした」とPK戦に臨んだ。

 日本対策を講じてきたニュージーランドは、5-3-2のシステムを採用して守備に重心を置くだけでなく、トップ下のMF久保建英(レアル・マドリー)、ボランチのMF遠藤航(シュツットガルト)とMF田中碧(デュッセルドルフ)をマンツーマン気味にケア。中盤中央のエリアでのプレーに制限をかけられた日本は思うような攻撃を仕掛けることができずに、0-0のまま試合が進んだ。

 チャンスを作るも、GKマイケル・バウドの好守に遭って得点を奪えなかったが、日本にも谷がいた。枠に飛ばされたシュートにしっかり反応するだけでなく、ハイボールにもきっちり対応。「相手はセットプレーで高さを生かしてくる。そこは自分の強みでもあるので、相手のストロングを消せたらいいと思っていた」。

 ともにゴールが生まれずに延長戦を含めた120分間を0-0で終えると、勝敗の行方はPK戦い委ねられることになった。ここで頭をよぎったのが、17年のU-17W杯だった。決勝トーナメント1回戦でイングランドと対戦すると、0-0で迎えたPK戦を3-5で落として大会から姿を消すことに。当時、ゴールマウスを託されていた谷は、5本すべてのPKを決められ、「PKでもまだまだ伸ばせるところがあると思う」と悔しさを滲ませていた。

 そして、「挽回するチャンスがきた」というニュージーランド戦。2人目のキッカーDFリベラト・カカーチェのシュートを「タイミングはバッチリ。読みが当たった」とストップすると、プレッシャーを掛けて3人目のMFクレエートン・ルイスのミスを誘う。一方、仲間は4人目まで全員がきっちりネットを揺らし、PK戦を4-2で制して準決勝へと駒を進めた。

「僕自身、あのときにベスト16で負けた悔しさがあった。今日はその悔しさを払拭するチャンスだと思ったし、落ち着いて入れた」。チームを4強へと導くヒーローとなったが、ここで満足するわけではない。「これを次に繋げて、また勝っていければと思う」。準決勝スペイン戦でも必勝を誓う。

(取材・文 折戸岳彦)
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