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[MOM3570]米子北FW片山颯人(3年)_積極守備をけん引するFW、大一番で待望の初ゴール

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米子北高のアグレッシブな守備をけん引するFW片山颯人が今大会初得点。(写真協力=『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.21 インターハイ準決勝 星稜高 2-3 米子北高 三国運動公園陸上競技場]

 主力温存で途中出場となった2回戦の東海大山形高(山形)戦を除き、これまで4試合でスタメン出場。今年の米子北高(鳥取)の代名詞と言える前線からのアグレッシブな守備をけん引するFW片山颯人(3年=京都JマルカFC COMRADE出身)だが、「1回戦から無得点でチームに貢献できていなかった」と悔しさを滲ませる。

 ここまでFWとしての本業は果たせていなかったが、チームメイトからの信頼は厚い。「今大会は点が獲れていなかったけど、いつか決めてくれると思っていた」と話すMF佐野航大(3年)の読み通り、決勝を前にした大一番で1ゴール1アシストを記録し、チームの勝利に貢献した。

「絶対自分が決めて勝ってやろうという気持ちで、意気込んで試合に挑んだ」片山に最初の見せ場が訪れたのは、前半6分。これまでの試合同様、高い位置から積極的にボール奪取を狙うと相手DFがGKに下げた瞬間を奪い取ったが、シュートは枠を逸れた。

 チャンスを逃しても落ち込む様子は見られない。続く8分には、左のMF木村愛斗(3年)からのパスを受けると、「相手のSBが内寄りになるのは分かっていたので、右サイドを狙っていた」と素早く反対サイドに流して、MF渡部颯斗(3年)の先制点をお膳立てした。

 10分には、GK山田陽介(3年)のロングキックが前線へ。木村が相手DFと競り合ったこぼれが最終ラインの背後に落ちると、「いつも狙っている形だった」と素早く落下点に走り込んで自身初ゴールをマークした。「決めた瞬間はとても嬉しくて、やっとかと思った」と振り返る。

 後半に入ると2点リードを追いつかれたが、片山と代わって入ったMF牧野零央(3年)が土壇場で決勝ゴールをマーク。「(決勝点が入った瞬間は)めっちゃ嬉しかった」と話す片山がこの試合で果たした仕事も、とても大きかった。

 大一番で主役級の活躍を見せた片山は、京都JマルカFC出身。「この高校なら、走力や人間性で成長できると思った」と米子北への進学を決意した。今でも練習で行う長距離走は、トップチームの中で最下位になることが多いが、「頑張っているたくさんの仲間に負けないように」と必死で食らいつき、チームに欠かせない存在へと成長していった。

「頑張ろうという気持ちでいつも走っています」、「自分は泥臭くゴールを決めるのが仕事」。そんな言葉を並べるように、気持ちのこもったプレーが片山の真骨頂であり、米子北に来てからの成長だ。

 インターハイのメンバーから漏れた3年生が、大会に挑む選手に向けて送ってくれる応援動画が片山を始めとした17人の励みとなっている。決勝で戦う青森山田高(青森)は、これまで以上の難敵だが、鳥取で吉報を待つ彼らのためにも負けるわけにはいかない。「守備の時間は多くなると思うけど、米子北は粘って戦うのが特徴。カウンターから点を決めたい」と意気込む片山が、再び勝利を引き寄せてくれるはずだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2021

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