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伝統校・国見は“悪くない”から変化し、第100回の選手権へ

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国見高MF日高希星主将は相手DFラインのズレを見逃さず、抜け出しから決定機を演出

[9.25 高円宮杯プリンスリーグ九州第13節 国見高 1-3 九州国際大付高]

“悪くない”から変わる。選手権優勝6度の名門、国見高(長崎)は九州国際大付高(福岡)に逆転負け。先制し、多くのチャンスを作ったが、防げるような失点を阻止できずに3点を奪われた。勝ちに持って行けたような“惜しい”印象のゲームでもあったが、木藤健太監督はそれを否定する。

 目指すのはボールを保持して主導権を握り、相手を動かし、崩して得点する。だが、この日は状況に応じた攻撃ができず、安易にボールを失い、相手に速攻を受けたり、攻撃を作られたりした。また、守備面でセオリー通りのプレーができずに隙を見せてしまうなど、ゲームを支配できなかったことで相手に勝機を与えてしまった。

 1-2で競り負けた前節の神村学園高戦に続き、勝負強さを発揮することもできず、連敗。木藤監督は、「悪くないゲームだけど、勝ち点3を取れないのはそういう本当に際の部分なんでしょうね。もっとボールも握らないといけないし、握るための準備だったり、ポジショニングだったり、状況での判断……本当にそういうのは見ていて、まだまだだなと」と首を振る。

 そして、指揮官は「やれることは増えてきていると思います。崩し方とか人が絡んでとか、もちろんできることは増えてきているんですけれども、それだけでは勝てない」。劣勢でもチームを勝たせるようなストライカーがいる訳でも、セットプレーの圧倒的な強さがある訳でもないだけに、練習で状況判断や技術力など課題を一つ一つ改善し、チーム力を少しでも高めて秋冬を戦う。

 8月に主将へ就任したMF日高希星(3年=長崎南山中出身)は「練習のときとかは距離感みんな近くてパス回しとかできているけれど、試合になると相手によって(戦い方が)違う。もっとみんなで言い合って、改善して、相手に応じた動きができればもっと良いサッカーができると思うので、練習から意識してやっていきたい」と語る。

 木藤監督が「思いは凄く強い子」と説明する日高は、2月の九州新人戦前に骨折して離脱。一時期はコンディションを落とし、なかなかAチームに戻ってくることができなかったが、豊富な運動量で相手の嫌なところへ顔を出せるMFは、この日も抜け出しから決定機を演出するなど状態を上げてきている。

 本人は主将就任の理由について、サッカーに対する気持ちが変化し、練習での声など取り組みを評価してもらっているからと自己分析。「キャプテンとしての仕事とかできていないので、もっと自分が引っ張っていくという気持ちを出していきたい。(リードされた時に) 自分がどんどん引っ張っていけるようなプレーができると、チームも前向きになっていくんじゃないかと思うので、もっと自分からやっていきたいです」と意気込んだ。

 目標とする選手権予選初戦まで1か月弱。日高は「(どの試合も)自分たちのゲームにしながら、力強いサッカーをして、国見らしさも忘れずに1試合1試合大事にして、選手権も必ず長崎県の頂点に立って、もう一回青と黄色のユニフォームを全国に持っていきたい」と宣言した。国見は“悪くない”の壁を破り、勝ち続けて第100回選手権のピッチに立つ。

(取材・文 吉田太郎)
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