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興國高から今年3人目のJ内定!C大阪U-18から転籍、努力続けた快足MF向井颯が福島入り勝ち取る

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努力を続け、福島ユナイテッドFC内定を勝ち取った興國高MF向井颯

 福島ユナイテッドFCは28日、興國高(大阪)MF向井颯(3年)の2022年シーズン加入が内定したことを発表した。興國からの来季Jクラブ内定者は、川崎F内定のFW永長鷹虎(3年)、山形内定のFW荒川永遠(3年)に続き3人目。向井は「自分の目標であるプロサッカー選手の世界にやっと足を踏み入れて、スタートラインに立てて、『ここからやな』というのが凄く正直な気持ちで、ここからどう活躍していけるかとか、楽しみでしかないですね」と目標のステージで戦う機会を得たことを喜んだ。

 努力を続けて勝ち取ったプロ入りだ。向井はC大阪U-15に所属していた中学3年時に、U-16日本代表初選出。抜群のスピードと突破力を備えた高速アタッカーはその後、C大阪U-18へ昇格し、公式戦出場を重ねていた。

 その向井は今年3月、特別な覚悟を持って、興國高のサッカー部へ転籍。「3年から入ってきてすぐ出れるとか思っていなかったですし、自分が興國の選手に認めてもらうためにどうプレーすれば良いかというのは最初に思っていて、そこで受け入れてくれて、試合でチャンスを与えてくれた監督や興國高校には感謝の思いが強い」という。

 C大阪U-18と興國では求められるものが異なる。技術、身体の使い方、インテリジェンス……。転籍後、リーグ戦の出場機会こそ得ていたが、なかなか思うようなプレーをすることができなかった。

 ただし、興國の内野智章監督は「アイツをリスペクトできるのは、『自分は全然や』と受け入れて物凄く努力した。入ってきて4月、5月、6月、7月で向井が自主練で一番練習しているちゃうかなと」と頷く。肩書関係なく、自分に目を向け、続けていた努力。それはC大阪アカデミー時代から向井がこだわってきたことだった。

「自分は学校に残って自主練をしたりして、『俺は絶対にここから這い上がってやる』という気持ちでやっていましたし、(福島以外にも)何個か他のところにも練習参加させてもらいましたが、なかなか結果がついてこなくて、チームに帰ってきた時も思うように行かない難しさを感じましたが、『俺はこれだけ自主練しているから行ける』と自分に言い聞かせるためにも、自分の成長のためにも、努力を続けることは意識して興國に入ってからずっと続けてきました」。全体練習後、寮生のチームメートを呼び出してグラウンドで自主練習。自分の動きについての感想を聞いたり、フェイントを教えてもらったりもしたという。「これまでで一番サッカーのことを考えてきた期間」。誰よりも貪欲に自分を高めたMFは少しずつできることを増やしていった。

 8月、福島へ練習参加した向井は「福島に行く前は無理矢理でも抜いてやるくらいの気持ちで、縦への突破とか、自分の(50m走5秒台の)スピードとかは絶対に出さないといけないと思って、そうしたら自分のスピードは通用して抜くことができたので良かったと思います」。福島から評価を得て9月に2度目の練習参加。サイドで武器のスピードを発揮し、中央のポジションで周囲と連動する力も発揮した向井は、内定を勝ち取った。

 福島では先輩の優しさや戦い方を魅力に感じたという。「福島の選手は聞きに行こうとした時に向こうから『今はこうした方が良かったんちゃうか』とか、的確に教えてくれたり、選手の優しさとかそういうところもこのチームいいなと思いましたね。(戦い方は)奪ったら何回も出ていくという強度とか、守備も攻撃も運動量が多い。そういうところはこのチームフィットするなとか、長所出せるなと思ったので良いなと思いました」。福島では1年目からの活躍を誓う。

「(J3、J2から上のカテゴリーへ)自分が上げてやるぞ、くらいの気持ちで。1年目から即戦力として自分が入ってやるぞという意志を持ってやっていきたいと思っています。自分を選んでくれた福島の関係者、選手、サポーターに感謝の気持ちを持って、自分がプレーで表現するので。スピードを活かしたプレーが得意なのでそういうところを見て欲しいですし、結果を残すので、よろしくお願いします」。自分の人間性や武器を高めてくれたC大阪、興國、そして自分の決断を後押ししてくれた家族に感謝。ブンデスリーガでゴールを決め、満員の観衆を沸かせるという大目標を持つ向井が努力を続けて、福島から世界へ羽ばたく。

(取材・文 吉田太郎)
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