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西目にリベンジ!最多45回出場の名門・秋田商、第100回選手権の出場権を必ず「掴む」

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後半14分、秋田商高MF近野宙安が左足で先制ゴール

[10.21 選手権秋田県予選準決勝 西目高 0-2 秋田商高 ソユスタ]

 最多出場の名門、第100回選手権まであと1勝――。第100回全国高校サッカー選手権秋田県予選は21日、準決勝を行い、選手権出場45回(全国最多)の秋田商高と同13回の西目高との名門校対決は、秋田商が2-0で勝ち、明桜高との決勝(10月23日)へ駒を進めた。

 前回大会の準々決勝は西目がPK戦の末に秋田商を下し、6連覇を阻止。今夏のインターハイ予選準決勝でも西目がPK戦で勝利している。2回続けて全国への行く手を阻まれている秋田商の選手たちへ向けて、小林克監督は「その悔しさを晴らすのは今日しかないし,3年生にとってはこれが最後だから、悔いを残したまま終わったらダメだ」と言葉を掛けたという。その言葉で発奮した部分もあったか、前半、秋田商は強風雨の風下ながら西目を押し込む。

 主将のMF中野宏宣(3年)が「球際とか、走る・戦う・守るということコンセプトとしているので、その部分を全員が徹底してこの冬まで練習して来れたんじゃないかと思います」と説明したように、秋田商は伝統的な走る部分や球際で相手を上回る前半。前線の選手が運動量を増やし、中盤の底の位置でMF有泉楓馬(2年)がセカンドボールを回収するなど、小林監督も「(風下の前半に相手の勢いを止めたことは)良い意味での想定外でした」と頷く戦いで試合を進めた。

 そして、ショートカウンターや左のMF近野宙安(3年)の仕掛け、連動した崩しなどからチャンス。28分には左サイド後方からのFKをファーのCB鈴木悠太(3年)が頭で折り返し、ゴール前の混戦から決定機を迎える。だが、近野の右足シュートは左ポストをヒット。注目の186cmCB佐藤康成(3年)とCB畠山康(3年)を中心とした西目の黄色い壁は厚く、粘り強く、前半は0-0で折り返した。

 インターハイで全国大会に出場している西目は、立ち上がりにCKからチャンスを作ったほか、MF小川拓主将(3年)のカットインシュートやカウンターからゴールを目指したが、攻め切る前にボールを失ってしまい、秋田商のゴールを脅かすシーンを増やすことができない。それでも良く凌いでいた西目だが、リベンジに燃える秋田商が後半にリードを奪った。

 前半途中から緊急出場していた中野やMF吉村隆助(3年)がクロスまで持ち込んでいた秋田商は15分、敵陣中央でクリアボールに反応した中野が1タッチでラストパス。これを受けた近野がゴール方向へのファーストタッチからすかさず左足を振り抜く。グラウンダーのシュートがゴール右隅へ決まり、秋田商が先制。一般生徒も含めた大応援の拍手の中で喜びを爆発させた。

 一瞬の隙を逃さずにリードした秋田商は、その後も足元の技術力高い1年生CB木内翼と鈴木からのビルドアップなど、ゲームをコントロールしながら試合を進める。相手の足を止めた秋田商は32分、敵陣での奪い返しから中野が右サイドをドリブルで抜け出す。そして、マイナスへのラストパスを受けたFW川辺瑞輝(2年)が丁寧なトラップから右足で決めて2-0とした。

 昨年の選手権予選、今年のインターハイ予選でいずれもリードしながら追いつかれてPK戦の末に敗れている秋田商はその後、集中した戦いを継続。公式記録上は、シュート1本に相手を封じて快勝した。今年の3年生は3年前の選手権8強を見て入学してきた選手たちだが、その中には昨年、連覇を5で止められた敗戦を知る選手も。小林監督は「あそこ(全国8強以上)を目指して頑張るんだけど、去年負けているし、行くことは簡単なことではないので、掴みに行かないと掴めないものがあるということは学んだと思います」と語っていたが、白星と優勝を全員で、全力で掴み取りに行っている名門がタイトル奪還まであと1勝とした。

 中野は今年のチームについて、「個性が強くて、まとめるのは大変なんですけれども、一つの目標に向かって団結して行く力というのは結構あるんじゃないかと思います」と分析する。その仲間たちと戦う選手権。「(今日は)去年の選手権も、今年のインターハイも負けているので絶対にリベンジするんだという気持ちで全員がプレーできたと思います。(決勝では)自分たちのコンセプトを曲げずに、100回目の選手権に自分たちが出たいと思います」。全国優勝2回、全国最多45回の出場を誇る名門が決勝の白星も「掴んで」、100回目の選手権のピッチに立つ。

(取材・文 吉田太郎)
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