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嫌なジンクスを感じさせない内容。インハイ準Vの米子北が日本一への再挑戦権獲得

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米子北高が鳥取12連覇。日本一への再挑戦権を獲得した

[10.30 選手権鳥取県予選決勝 米子北高 3-0 境高 Axisバードスタジアム]

 第100回全国高校サッカー選手権鳥取県予選決勝が10月30日に行われ、米子北高境高を3-0で下し、12年連続17回目の出場を決めた。

 得点差は大きく広がらなかったものの、開始直後から試合終了まで攻め続けて相手を圧倒した。今年のインターハイ(全国高校総体)準優勝の米子北が、戦前の予想通りの強さを発揮。危なげのない内容で出場権をつかんだ。
 
 境はキャプテンのDF坂本敬人(3年)を中心にDF5人を最終ラインに並べ、まず失点を防ごうとするが、米子北は2トップと両サイドハーフに加え、右の原佳太朗(3年)、左の海老沼慶士(3年)の両サイドバックも高い位置を取り、サイドから攻略を試みる。センタリングが合わず、粘り強い守備をなかなか崩せなかったものの、ボールを奪われても素早い寄せや的確なカバーリングでカウンター攻撃を素早く寸断し、波状攻撃を仕掛けた。
 
 前半22分(40分ハーフ)には敵陣右サイドでスローインを受けたDF鈴木慎之介(3年)が、エリア内中央へ低い弾道のアーリークロス。フリーで待っていたMF木村愛斗(3年)がヘッドで合わせると、境GK前川春斗(3年)の手の先を抜けたボールがゴール左上に吸い込まれた。直後に飲水タイムを告げるホイッスルが鳴り、米子北にとっては相手が落ち着くきっかけを得る前の貴重な先制点となった。
 
 その後は境も単発ながら敵陣に攻め込む場面を作り、39分には右からのセンタリングをエリア内中央でFW枡田歩(3年)が右足ボレーで合わせたが、大きく左に外れて決まらず。結局、米子北が1-0として前半を終えた。

 境は後半、1点差で凌いで流れを引き寄せたかったが、米子北は立ち上がりに追加点を奪う。後半3分、左からのセンタリングを相手DFがクリアしたこぼれ球を、エリア内で待っていたJ2岡山内定のMF佐野航大(3年)が左足インサイドで合わせ、ネットを揺らした。

 リードを広げて攻撃の勢いが増した米子北は、後半17分にも木村が左サイドからシュート。GK前川の好セーブに阻まれたものの、こぼれ球を素早くつなぎ、最後はFW福田秀人(2年)が蹴り込んで3点目。その後も交代で入ったフレッシュな選手が何度もゴールを脅かしたが、追加点はなく、3-0で試合終了となった。

 境は2年前の選手権予選で米子北と対戦したとき、0-2で敗れたとはいえ、後半17分まで0-0で粘って勝利に近づいた。現在の3年生は当時1年生で、スタンドで応援しており、山﨑邦夫監督は「ミーティングでは当時の映像も使って、ウチのやり方などを確認した」という。

 現在のチームは、2020年11月の新人戦と今年5月のインターハイ予選で、どちらも準決勝で米子東高に敗れ、米子北への挑戦権を得ることができなかった。まず決勝に進み、越えなければいけない壁の高さを体感できたことは、下級生にとって貴重な経験だろう。山﨑監督は「決勝に勝ち上がり続けることも、このレベルの試合を積み重ねることも大事。選手たちは落ち着いてやろうとしていましたが、結果をひっくり返すためには、もっともっと必要なことがあるとも感じたので、また頑張りたい」と今後に目を向けていた。

 米子北は、2009年に当時2年生のDF昌子源(ガンバ大阪)らを擁してインターハイで準優勝したとき、選手権予選決勝で境に0-1で敗れている。12年後、再びインターハイで準優勝した後に選手権予選決勝で境と対戦することになったが、嫌なジンクスなど感じさせない内容で勝利をつかんだ。

 インターハイ後にサッカー部の生徒に新型コロナウイルスの感染が広がり、休校や部活動の中止などで難しい時期を過ごしたものの、日本一への再挑戦の資格は手放さなかった。中村真吾監督は、この決勝で課題を抽出したかったとの思いを明かした上で「周りを見て、状況を見て判断するという課題が見えた」と収穫を挙げ、本番へ向けてのレベルアップを誓った。

 青森山田高(青森)とのインターハイ決勝は前半に先制したものの、後半終了間際に追い付かれ、延長後半アディショナルタイム、PK戦突入寸前のラストプレーの失点で1-2の逆転負けを喫した。雪辱を期す選手権へ、鈴木は「優勝しかありません」と決意を新たにしていた。

(取材・文 石倉利英)
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