beacon

ユース取材ライター陣が推薦する選手権予選注目の11傑vol.1

このエントリーをはてなブックマークに追加

川端氏が推薦するDFアッパ勇輝(日大藤沢高2年)

 第100回全国高校サッカー選手権の都道府県予選は、各地で熱戦が繰り広げられている。ゲキサカでは「選手権予選注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター陣に選手権予選注目の11選手を紹介してもらいます。第1回はサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』元編集長で育成年代からJリーグまで幅広く取材する川端暁彦氏による11人です。

川端暁彦氏「選んでいて改めて気付いたのですが、今年夏の高校総体は有力選手を抱える高校の都道府県予選での敗退が多く、Jリーグ内定選手だけで11名を組むのも可能というほどの“厚み”があり、思っていた以上に難しい選考でした。少し学年のバランスも考えながら1校1名の原則で選んでみました。今年全国未経験とは思えぬくらいの強力なラインナップになったのではないでしょうか」

以下、川端氏が推薦する11名

GK平尾駿輝(履正社高3年)
中学時代までは無名。技術的にも未熟だったというが、「今は本当に頼りになるGKになった」(平野直樹監督)。進路は大学ではなく「兄弟が5人もいるので、これ以上親に負担を掛けたくない」とプロでの勝負を選んだ。その挑戦の前に、選手権で富山のサポーターに勇姿を見せたいところだ。

DF本間温士(昌平高3年)
とにかく速い。ゆっくりボールを持てる昌平だけに、余計にそのスピードはピッチで際立つ。サイドで1対1になれば、ドリブル勝負。ある種の小気味よさを感じる選手だ。「もっとクロスの質を上げて得点・アシストを増やす」と意気込む超速SBが、まずは夏の借りを返しにいく。

DFアッパ勇輝(日大藤沢高2年)
「ガツガツ行くのは得意なんで」と笑って言い切る男は、U-17日本代表候補合宿でもその球際の強さ、アグレッシブなスタイルで強烈な印象を残した。ビルドアップの部分を含めてまだまだ課題もあるものの、ボールを追うスピード感、打点の高さも含めて将来が楽しみな選手だ。

DF長谷川皓哉(明秀日立高3年)
跳ぶ、走る、競るといった基本的な肉体勝負で負け知らずのCB。身長174cmとは思えぬ「高さ」も出せる。1年次は選手権にFWとして出場して点も取っているように、セットプレーでの得点力も抜群。競った展開で終盤に入れば、活躍の場を前線に移してのパワープレーでも脅威となる。

DF松村晟怜(帝京長岡高3年)
湘南ベルマーレに来季加入内定済みのU-18日本代表DFは今季、負傷離脱で苦しむことに。選手権予選で復帰となる可能性もありそうで、頼もしい男が帰ってくることになる。左足から繰り出す自慢のロングフィードで、夏のリベンジを果たして冬の切符を掴めるか。

DF吉村瑠晟(神戸弘陵高3年)
兵庫県リーグの試合で“無双”しているところを目撃してしまった。左サイドバックは無名の中学時代から一転、身体的にも伸びて遅咲きのブレイク。フィジカルテストの殆どの項目でトップかそれに準じる数字を残したという身体能力に加え、ストリートサッカーのような足技も持つ。

MF北野真平(筑陽学園高2年)
鳥栖U-15では夏の日本一に輝く原動力になるなど大活躍。卒業後は元から中等部に所属していた筑陽学園に進み、昨年から出場機会を得ている。センスに加えてエネルギッシュなプレーが魅力で、パワーも備える。戦国模様の福岡県予選で存在感を示せるか。

MF北村一真(国見高2年)
ファーストタッチのセンスが良く、ボールの置きどころだけで相手のプレッシャーをはがせる名手の卵。2列目に加えて3列目でもプレー可能だ。九州新人大会を制してU-17日本代表候補にも選ばれて注目を集める中で、チームと共にその真価が問われる冬に挑む。

MF太田隼剛(市立船橋高1年)
名門の1年生MFは、身体的に恵まれているタイプではないが、「サッカー理解が高く、周りに発信もできる」(波多秀吾監督)点が高く評価されて先発に抜擢された。「もともと守備的な選手ではない」と言うが、その弱みを補うため、フランス代表MFカンテのプレーを勉強中。

MF宮原勇太(興國高1年)
1年生ながら「興國の10番」を樺山諒乃介(現山形)から譲り受けたドリブラー。両足でタッチできてスピードもあり、縦横斜めに仕掛けてはがせるセンスは群を抜く。横浜FMの練習にも継続的に参加しており、場慣れもしてきた。U-16日本代表にも選ばれているが、そこで満足する気はなさそうだ。

FW木原励(京都橘高3年)
浦和レッズへの加入も発表されたが、すでに複数回にわたって練習参加もしており、総体出場を逃した夏休み期間は1か月にわたって参加。プロの温度感の中で技を磨いた。米澤一成監督が「オールマイティ」と評する万能型で、身体能力に頼らずに周りを観て賢く戦えるのが特長。最後の冬へ向け、何を見せてくれるか。

執筆者紹介:川端暁彦
 サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』元編集長。2004年の『エル・ゴラッソ』創刊以前から育成年代を中心とした取材活動を行ってきた。現在はフリーランスの編集者兼ライターとして活動し、各種媒体に寄稿。著書『Jの新人』(東邦出版)。「#蹴球メガネーズ」

▼関連リンク
●【特設】高校選手権2021

TOP