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[横山杯]選手権登録30名入りも帯同外。2度の直訴で参戦した前橋育英MF杉山陽太が覚悟を表現し、優勝貢献

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前橋育英高の2年生MF杉山陽太は攻守両面で優勝に貢献

[12.27 YOKOYAMA MEMORIAL CUP決勝 帝京高 1-3 前橋育英高 若松運動場]

 気持ちを切り替え、目の前の試合で全力を尽くして勝ち取った優勝だ。選手権出場校・前橋育英高のMF杉山陽太(2年=スクデットFC)は選手権登録メンバーで唯一、「全国ユース招待サッカー大会〜YOKOYAMA MEMORIAL CUP〜」に参戦。攻守で存在感ある動きを見せて優勝に貢献した。

 準決勝では相手のプレッシングの中で柔らかいタッチを見せるなど、非常に余裕のあるボールコントロール。ボランチの位置での正確な配球によって、攻撃の中心となった。そして決勝では、4-3だった準決勝を糧に守備を重視。ダブルボランチを組んだMF小川雄平(2年)に声を掛けながらバランスを取り、身体を張ってセカンドボールを回収した。

 また、中へ潜り込んで来る帝京高SH橋本マリーク識史(2年)にも対応し、ゴール前で自由を与えず。指揮を執った櫻井勉コーチもその姿勢を評価したように、技巧派MFは人一倍気持ちを込めて戦い、最後までやり切った。

 杉山は選手権の登録30名入りをしたものの、人数を絞った帯同メンバーから外れることに。その後、櫻井コーチに電話を入れ、2年生チームの「全国ユース招待サッカー大会〜YOKOYAMA MEMORIAL CUP〜」に臨む意思を伝えた。一方、櫻井コーチは教え子に対し、落胆から切り替えて本気でYOKOYAMA MEMORIAL CUPに臨むことができるのかを確認。改めて電話してくることを求めたという。

 そして、杉山は「自分に問いただして、『下がっても不貞腐れずにできるか』と自分に聞いて、覚悟を決めて、櫻井さんに電話して『行かせて下さい』と言いました。しっかりこっちでやろうと思いましたし、自分が引っ張っていかないといけないという覚悟もあったし、自分が試合を決めるプレーも必要だと思いました」。その決意を3日間、ピッチで実証した。

 櫻井コーチは「やると言ったら、キチッとやってくれましたね」。もちろん精度や戦う部分などまだ課題はあるが、本人も「チームに良い影響を与えたり、声を切らさずにやったし、自分から発信することをできたと思うので優勝に繋がって良かった」と素直に喜ぶ優勝と大会中の成長だった。

 今年、前橋育英のダブルボランチは根津元輝徳永涼の2年生コンビが務めてきた。杉山はCB、SB経験も持つが、来シーズン、得意とするボランチのポジションを勝ち取るためには彼らを他のポジションに追いやるようなパフォーマンスが必要になってくる。自分がやるべきことをより明確化し、刺激を受けているという彼らに食らいついていくこと。そして、チャンスを勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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