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新契約・チケット販売不可、アウェー旅費300万円以下…オーナー制裁がチェルシーに与える影響は? 不明点も山積み

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 イギリス政府がロシア人事業家のロマン・アブラモビッチ氏への制裁を開始したのを受けて、同氏がオーナーを務めるチェルシーにはさまざまな影響が出ている。イギリス『BBC』は「この状況に対処するためのテンプレートはない」と全容解明には時間がかかる見通しを伝えつつ、この制裁がもたらす事象をまとめている。

 政府によるアブラモビッチ氏へ制裁は、ロシアのウクライナ侵攻を受けての措置。侵攻を主導するロシアのウラジミール・プーチン大統領に関係が深い人々が対象となっており、同じくロシア出身のイーゴリ・セーチン氏、オレグ・デリパスカ氏も制裁リストに名を連ねているという。

 イギリスのボリス・ジョンソン首相は「ウクライナの人々に対し、イギリスによる揺るぎない支援の新たな段階だ。民間人を殺害し、病院を破壊し、主権国を違法に占領しようとする者に対してわれわれは容赦しない」と述べており、制裁内容はきわめて重大。アブラモビッチ氏の資産は差し押さえられ、その資産にはチェルシーのクラブ自体も含まれている。

 記事によると、今後チェルシーは事業活動が大きく制限され、チケット販売がストップし、グッズショップは閉鎖。新たな契約を結ぶことも認められなくなった。すなわち他クラブから補強することができないだけでなく、DFセサル・アスピリクエタ、DFアントニオ・リュディガー、DFアンドレアス・クリステンセンら今夏に契約満了を控える選手たちと契約を結び直すこともできない。またアブラモビッチ氏が検討していたクラブの売却も白紙となっている。

 一方、イギリス政府はチェルシーにライセンスを発行し、クラブ活動を継続するための一部事業を認可。公式戦の開催は継続することができ、試合に参加する選手・スタッフへの給与も支払いが滞らないように配慮された。またすでに販売されているシーズンチケットの保有者は試合観戦可。放映権を持つ放送事業者はチェルシーに関する試合を放送できるという。

 ところがさらに細かく見ていくと、さまざまな制約がクラブには課されるようだ。ホームゲームの試合開催にあたる経費は「合理的な」範囲である50万ポンド(約7600万円)以内に制限され、アウェーゲームの旅費も2万ポンド(約305万円)以下に制限。来週には欧州CLでフランス・リールでのアウェーゲームを控えているが、安価な宿泊施設を利用する必要が出てくるという。

 またホームゲームでは本来、アウェーチームに一部チケットが割り当てられるが、それらは販売可能なのかどうかという問題が浮上。4月2日に対戦を控えるブレントフォードはクラブ公式Twitter(@BrentfordFC)で「プレミアリーグからの説明を求めている」としつつ、「すでに3000枚のチケットを割り当てるという契約上の約束をしており、その割り当てがビーズ(クラブの愛称)のファンに確実に渡るよう全力を尽くす」と伝えている。

 BBCはこの問題について、45年間にわたってチェルシーのファンであり続けた男性にも取材。ラジオで伝えられた「何が起きようとも、チェルシーファンなら程度の差こそあれ彼に従うよ」「彼は私にとってただのナイスガイだ。彼はクラブのためにとても多くのことをしてくれた」「彼はパンデミックの最中にあってもスタッフを解雇したことは一度もない」というコメントを紹介している。

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