beacon

U-23代表は4位終戦も実り多い大会に

このエントリーをはてなブックマークに追加

[5.29 トゥーロン国際大会 U-23日本 2-2(PK3-4) U-23コートジボワール フランス]

 U-23日本代表はトゥーロン国際大会最終日の29日、U-23コートジボワール代表と3位決定戦を戦い、FWエスクデロ・セルヒオ(浦和)が代表初ゴールを決めるなど一時は2-1と逆転しながら、試合終盤に同点に追いつかれ、PK3-4で敗れ、4位に終わった。

 日本は4-4-2のシステムを採用した。GK林彰洋(流通経済大)に4バックは右から伊野波雅彦(鹿島)、水本裕貴(G大阪)、吉田麻也(名古屋)、田中裕介(横浜FM)。中盤は細貝萌(浦和)と上田康太(磐田)がダブルボランチを組み、右サイドに水野晃樹(セルティック)、左サイドに梅崎司(浦和)が入り、2トップは李忠成(柏)とエスクデロ・セルヒオ(浦和)だった。27日の準決勝・イタリア戦からは、水本を除いて先発10人を入れ替えた。

 序盤は日本ペースで進んだ。出足の早い守備からボールを奪い、中盤で小気味よいパスをつなぐ。左右の梅崎、水野は外だけでなく、中にしぼって2トップと距離を近く保ち、ショートパスで局面を打開しようとした。左サイドの田中も積極的に梅崎が空けたスペースに飛び込み、オーバーラップからチャンスをつくった。
 ただ、ゴール前ではコートジボワールのディフェンスも固く、いい形で2トップがボールをおさめきれない。前半17分には水野の左CKからエスクデロのヘディングシュートがクロスバーを叩く場面もあったが、PA内でなかなか仕事をさせてもらえなかった。
 水本、吉田のセンターバックは鋭い読みと体を張ったディフェンスを見せていたが、コートジボワールの早いパス回しと個人技に徐々にチーム全体が翻弄され、プレッシャーが甘くなる。前半31分には左サイドのジャクバがゴール前に入れたボールをフォファナが絶妙なトラップでマークに付いていた水本の背後にボールを流し、素早く左足を振り抜いてゴール右隅に叩き込んだ。

 0-1で折り返した後半は、立ち上がりから日本が積極性を見せる。後半3分に水野が鋭いFKをゴール前に送るが、李と細貝が重なり、GKがキャッチ。しかし、その後もエスクデロ、李の2トップや左サイドバックの田中らが果敢にドリブルを仕掛けるなど反撃した。後半23分には水野がドリブルからDF4人の間をぬってシュート。GKがはじいたところに伊野波がつめたが、オフサイドだった。
 次第に雨脚が強くなり、後半の半ば過ぎからはどしゃぶりの雨がピッチに降り注いだ。あちこちに水たまりができ、グラウンダーのパスが止まるかと思えば、バウンドが大きく弾むなどピッチコンディションは最悪な状態。その中でも日本は集中を切らさず、反撃の隙をうかがっていた。
 後半25分に上田、水野に代えてMF森重真人(大分)、MF本田圭佑(VVV)が入ると、直後の27分、ボランチの位置に入った森重が中央をドリブル突破。PA内の李につなぐと、李がDFとの1対1から縦に突破し、ゴールライン際から左クロス。逆サイドでフリーだったエスクデロが右足で合わせ、同点に追いついた。
 さらに後半37分には梅崎の左CKに森重が頭で合わせて勝ち越し。しかし勝利目前の後半ロスタイム3分過ぎに、PA内の混戦からシセに押し込まれ、2-2に追いつかれた。
 PK戦は4人目の李、5人目の水本が失敗し、PK3-4で4位終戦。2試合連続のPK負けで、土壇場の失点が悔やまれた。

 ただ、大会を通じて試合を重ねるごとに成長の跡を見せた反町ジャパン。毎試合、メンバーを大幅に入れ替えながらも攻守に組織の完成度は高まった。FW平山相太(F東京)を外した攻撃陣は、初戦で負傷したFW岡崎慎司(清水)は不運だったが、森本、李、エスクデロがそれぞれ1得点。本番の北京五輪に向け、手応えをつかんだはずだ。
 新顔選手の台頭も目立った。特に森重はセンターバック、両サイドバック、ボランチでプレーし、いずれのポジションでもレギュラークラスに引けを取らないパフォーマンスを見せた。センターバックの吉田も高さ、足元の正確さで存在をアピールし、左サイドバックの田中も攻守に目立っていた。浦和で活躍する細貝もボランチで質の高いプレーを見せるなど、アジア予選の主力を脅かす結果になったのは間違いない。
 18人の北京五輪メンバー入りをめぐっては、常連組の伊野波、水本、青山敏、上田、梶山らも決して安泰ではない。所属クラブで出場機会のない水野も試合勘の問題をのぞかせた。オーバーエイジ枠を採用すれば、現世代の枠は最少で15人になる可能性もある。チーム全体の完成度とともに、個々の競争という意味でも反町康治監督にとっては収穫の大きい大会になったはずだ。

<写真説明>PK戦5人目のキッカーとして登場したキャプテン水本(右)。ぬかるんだピッチでミスキックをしてしまい、ボールはゴール左にそれて敗戦。この悔しさは北京ではらす――


(文 西山紘平)

TOP