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「ここが決勝戦」。大一番へ向けて準備してきた東京都が“アウェー”で鹿児島県にPK戦勝利

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PK戦1人目、東京都GK長谷川宗大(三菱養和SCユース、1年)が右へ跳んでストップ

[10.12 国体少年男子1回戦 東京都 1-1(PK4-2)鹿児島県 OSAKO YUYA stadium]

 東京都が“決勝戦”と位置づけていた一戦を突破した。対戦した鹿児島県はともにU-16日本代表のMF福島和毅(神村学園高1年)やFW大石脩斗(鹿児島城西高1年)を擁し、地元国体のために準備してきた注目チーム。この日は、800人の観衆が地元チームを後押ししていた。

 だが、石川創人監督(東京農大一高)が「僕らは『ここが決勝戦だ』と言ってチームを作ってきた」という東京都が、強敵を上回る。技術力の高い選手の多い鹿児島県に対し、MF仲山獅恩(東京Vユース、1年)とMF鈴木楓(FC東京U-18、1年)中心にコミュニケーションを取って準備してきた守備で対抗。相手にバックパスを選択させたり、奪い取る回数を増やしていく。

 鹿児島県の巧さの前に迫力のあるショートカウンターへ持ち込む回数は少なかったが、チームリーダーのU-16日本代表CB佐々木将英(FC東京U-18、1年)が相手の決定的なシーンでシュートブロックするなど前半は無失点。そして、強力右SB関德晴(川崎F U-18、1年)のロングクロスから189cmFW尾谷ディヴァインチネドゥ(FC東京U-18、1年)が決め、1-0で前半を折り返した。

 東京都は今夏、大阪府の招待大会で鹿児島県と対戦済み。石川監督は「どれくらい能力があって、力があるか分かっていたので、あとは子どもたちもそれを言っていたので、相手をリスペクトした上で自分たちの良さも出せればなと話していました」と説明する。

 後半にはサイドから崩されて失点。初戦の硬さもあって思い通りに行かなかった部分もある。70分間の勝負で決着をつけられなかった。それでも、GK長谷川宗大(三菱養和SCユース)が「試合は完全アウェーで状況としては不利だったんですけれども、それを跳ね返す感じでみんな戦ってくれた。(首都・東京の)プライド的にも勝たないといけない」と語ったように、東京都はプライドを持って戦い、勝ち切った。

 1-1で突入したPK戦の1人目、東京都のGK長谷川が右へ跳んでスップする。「大阪遠征で鹿児島とやっていて、その時もPKになっちゃって、ある程度どこに蹴ってくるかというのは把握していたので、しっかり自分を信じてというか、やってきたことを信じて思い切り跳ぶだけでした」。大阪で対戦した際にPK2本を止めている守護神のビッグセーブで優位に立った東京都は仲山、FW前田勘太朗(横浜FCユース)、MF二階堂凛太郎(FC東京U-18)、左SB渡邊大貴(東京Vユース)が決めて4-2で勝利。大一番を突破した。

 殊勲の長谷川は「本当に監督の言う通り、ここで勝つか勝たないかでは全然違うと思うのでこの勝利はデカいと思います」と笑顔。その守護神は、「去年とかGK見ていても1個上はレベル高くて、東京のGKってそうだと思うんですけれども、代表に入ったり。自分はそうじゃないので、どれだけそれに近づけるかが大事だと思う。(今回の国体は)自分が凄く目立つ大会にしたい」と語る。

 強い思いを持って臨む大会で大仕事。“街クラブの雄”三菱養和SCユースでの出場機会を増やしながら自信を掴み、初戦から活躍した長谷川は「目標は優勝して東京に帰ることです」と力を込めた。注目対決を制し、大きな1勝。首都・東京の代表チームが勢いに乗って、白星を重ねる。 

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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