beacon

[仙台カップ]快勝も課題多きU-19日本、水沼「焦りはある」(U-19日本vsU-19韓国)

このエントリーをはてなブックマークに追加

[9.15 仙台カップ国際ユースサッカー2008最終節 U-19日本代表 3-0 U-19韓国代表 ユアスタ]

 U-19日本代表は仙台カップ最終戦でU-19韓国代表に3-0で快勝した。ただ、忘れてならないのは、韓国のメンバーが大学生主体の構成でアジアユースではKリーグに所属するプロ選手主体の全く違うチームになること。またこの日は3ゴールを決めたが、流れのなかでの得点は相手DFが退場した後のもの。2トップの一角として先発したFW柿谷曜一朗(C大阪)を後半から左MFへと下げ、サポートが少ない中でも柿谷が決定的な役割をしたことで攻めどころははっきりとした。数的優位を得てからはサイド攻撃が活性化。持ちすぎの傾向にあった各選手のボールを捌くテンポも向上した。ボールはつながり決定的な場面を量産。3点では少なすぎると感じるほどに攻め続けた。
 だが、チームの完成度としては遅れていると言わざるを得ない。ビルドアップの際にフォローする選手がいない欠点は変わらず。右SB高橋峻希(浦和ユース)が出しどころを失いボールを奪われる場面などあったが、出しどころを失っていたのは彼だけの責任ではない。右MFの水沼宏太(横浜FM)も周囲のフォローなく、単独突破を図らざるを得ないような場面が多々あった。柿谷が中盤に入った後半は献身的にフリーランニングしていた左SB鎌田翔雅(湘南)らと連動してチャンスを作っていたが、運動量が完全に少なかった前半の日本にはまるで脅威はなかった。水沼は「サポート入って展開、というのがひとつのパターン。でもボランチが絡めていない。1人が持った時に他の2、3人が絡めるようにしないと。次の次の動きまで考えないといけないと思う」と課題を呈した。

 さらに水沼は「あせりはある」と不安そうな表情で口にした。「シンガポール(06年AFC U-16選手権)の2ヵ月前とは明らかに違う。U-16の時はひとりひとりがやることが同じレベルでやれていた。今日はいい試合できたと思うけど、まだまだだと思う」。試合中に戦術的な指摘の声が全く出なかったチームは、選手同士のミーティングなどを経て変わってきた。ただ、選手たちは自分たちのプレーに納得はしていない。DF金井貢史(横浜FM)も「出して動く動き少ないしもっと人数をかけてできたら。まずはコミュニケーションを取れないことには・・・」と語った。課題は決して少なくない。

 仙台合宿で選手たちからコミュニケーションや戦い方について前向きな言葉が多く聞くことができたのは確か。だが、それは模索を続けてきた中での方向性がようやく見つかったからにすぎない。遅れをどれだけ早く埋めることができるか? 10月中旬の新潟合宿、そして大会直前に1週間組まれている合宿で不安を完全に打ち消したい。

(取材・文 吉田太郎)

TOP