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岡田ジャパンが「走り勝つ」ための意識改革に着手

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 日本代表候補のショートキャンプが8日、都内で始まった。今回のミニ合宿ではグラウンドでの全体練習は行わず、体力測定とミーティングが主な目的。初日のこの日はDF長友佑都、MF今野泰幸(以上、F東京)、DF阿部勇樹、FW田中達也、GK都築龍太(以上、浦和)、MF中村憲剛、DF寺田周平、GK川島永嗣(以上、川崎F)、FW興梠慎三、DF内田篤人(以上、鹿島)の10人が体力測定を受け、3日に左ひざの手術を受けたばかりのDF田中マルクス闘莉王(浦和)、負傷明けのDF中澤佑二(横浜FM)はミーティングのみの参加となった。

 各選手は心拍数などを計測する装置を付け、徐々にペースを上げながら15分間走った。岡田武史監督は「(計測した)数値で選手を比べるとかではなく、選手ひとりひとりの意識付けというか、選手が自分で数値を見て、チェックしてもらうような動機作り、きっかけ作りが目的」と説明。「数値が良い、悪いではなく、どういうエネルギーを使ってプレーしているかを見てほしい」と補足した。指揮官によると、サッカー選手はプレーする際にグリコーゲン(でんぷん多糖類の一種)だけを使って走っている選手と、グリコーゲンとともに脂肪を燃焼させて走っている選手がいるという。グリコーゲンを試合中に補給するのは難しく、これが枯渇すると、頭がボーッとするなど運動能力が落ちる要因となる。うまく脂肪も使いながらグリコーゲンを効率的に貯蔵していくノウハウは「練習で改善されると言われている」そうで、このことはミーティングでも選手に説明。選手の意識改革を促すのが大きな狙いのひとつだという。別の代表スタッフも「ウォーミングアップやクールダウンの意識をちょっと変えるだけでできること」と指摘した。

 岡田監督は「我々の目標を達成しようと思ったら、走り勝たないといけない。それも生半可、中途半端なものではダメ。マラソン選手のような練習をすれば、劇的に変わるだろうが、それはできないので、今持っているものをいかに効率よく使うかが大事になる」と話し、相手に走り勝つために必要な“改革”だと強調した。前線から激しくプレスをかけ、攻守の切り替えを早くするという「走り」がベースの岡田流サッカーにとって、90分間の戦いの中でエネルギーをいかに効率的に使えるかどうかが生命線になる。「サッカー界における新たな試み、新しいチャレンジ」(代表スタッフ)という岡田監督のアイディアがどうチームに生かされていくか。09年の岡田ジャパンの進化に期待したい。

(取材・文 西山紘平)

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