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鹿島の盤石の強さを支える「チーム内競争」と「チームマネジメント力」

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 首位の鹿島アントラーズが危なげない試合運びでF東京を下し、勝ち点を50に乗せた。2位の川崎Fも勝ったが勝ち点差は依然8と開いている。史上初の3連覇に向け、首位の座が揺らぐ気配はまったくない。

 今節は多少なりとも不安要素があった。前節の神戸戦で0-1と敗戦。今季3敗目を喫し、オリヴェイラ監督は「神戸では試合の終盤に運動量が落ちていた。こういうときはしっかりした食事、睡眠、休養が大切。メディカルや仲間とも接することができる」と、異例の「試合前2連泊」を敢行した。

 内田篤人は「連泊の効果はわからない」と言うが、前半4分でいきなり先制し、2点リードの後半も守りに入ることなく追加点を狙いにいくなど、選手には集中力や強気・自信がみなぎっていた。指揮官が「ミニ合宿をしたことで、結果が出て満足している。選手たちに危機感をもたらすことができた」と話すように、チームのメンタルマネジメントは的確だ。

 そして、連戦と暑さで疲れがちなチームを活性化させるのが、激しいポジション争いだ。

 この日、先発した興梠慎三は神戸戦の接触プレーで腰を強打。骨折の疑いもあるほどの痛みだったが、気力で回復して強行出場した。それだけではない。「ハーフタイムに『痛いなら正直に言え』と言われたけど、言えるわけないじゃないですか」と、後半11分までプレーを続行した。

 興梠と交代でピッチに立った大迫勇也も素晴らしい。「後半の頭から入る予定だったけど、興梠さんがもっといけるみたいだったので」と、プレータイムが短くなった分を集中力に替え、ゴールを決めたあたりは、すでに『鹿島イズム』が身に付いていることがわかる。

 開幕当初は子供っぽさも漂っていた大迫だが、この数カ月ですっかり表情が引き締まり、今や本物のプロサッカー選手の顔になってきた。

 日本代表でレギュラーを張る内田篤人でさえ、「気を抜くことは絶対にできない。うちにはいい選手が大勢いるから、いつ先発から外されるかわからない」と危機感を持っている、戦うプロ集団。このまま連敗なしでいけば、3連覇は盤石だ。
(取材・文・矢内由美子)

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