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[全日本ユース(U-18)選手権]強力だった“ボール狩り”と2トップ、米子北が静学沈める

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[9.6 全日本ユース(U-18)選手権1次R第1戦 米子北高 3-1 静岡学園高 NACK]

 高校年代チームの日本一を争う高円宮杯第20回全日本ユース(U-18)選手権が6日、開幕。今夏の全国高校総体準優勝の米子北高と5年連続出場の強豪・静岡学園高(東海2)との一戦は、米子北が3-1で勝った。
 
 初出場の米子北が好守と強力2トップの活躍で名門を沈めた。前半7分、DF山内拓哉のFKのこぼれ球をFW山本大稀が中央へ送ると、フリーのFW谷尾昂也が冷静にゴールへ押し込み先制。U-18日本代表宮城合宿に参加中のDF加藤大介を欠く静学もMF戸高弘貴やMF和田直己が相手の厳しい寄せをかわしてドリブルで1人、2人とかわして敵陣へ切れ込んでいくが、米子北守備陣は全く隙を見せない。くさびへのパスコースを切ると、相手アタッカーにプレスをかわされた選手もすぐに後退して再び厳しいプレッシング。攻撃的タレント揃う相手アタッカーの個人技に逆をとられる場面も何度かあったが、それでも常に2人、3人がかりでの“ボール狩り”を徹底して繰り返した。

 最終ラインから丁寧につないでいた静学だったが、アタッキングエリアで仕掛けにいったところを相手DFに引っ掛けられ、時間をかけて前進させた“陣地”を相手のシンプルな縦パスによって奪い返される場面の連続。そして26分に右スローインを受けた米子北FW山本がスピードに乗ったドリブルからGKとの1対1を沈めると、静学は完全にリズムを狂わせた。

 米子北は林原一樹と大江創太主将の両ボランチらが圧倒的な運動量で静学を追回し、サイドからのクロスは山内と昌子源の両CBが完封。攻撃に行き詰まり冷静さを失った相手がミスやファウルを繰り返すのを尻目に後半13分、敵の守備がややもたついた隙を突いた山本がドリブルシュートを決めて勝負の行方を完全に自らへ傾けた。

 静学はこの後、快足FW廣渡剛太を投入してスペースを上手く活用しだし、DF鈴木隆太郎の右クロスを和田がクロスバー直撃のヘディングシュート。25分にはU-18日本代表MF深澤大地の右CKにFW森田隆廣が飛び込む。だが31分に決定的なチャンスを逃すと直後の32分に深澤がこの日2回目の警告を受けて退場。司令塔を失ったチームは、後半ロスタイムにDF落合啓の右足FKがクロスバーを叩いた跳ね返りをDF米山晃平が押し込んだ1点にとどまった。
 
 米子北は今夏の全国高校総体で鳥取県史上初の決勝進出。だが、躍進の余韻に浸らず、チームは総体後も着実に「進化」を目指してきた。そして今回、実力を改めて示す全日本ユース初勝利となった。
 城市徳之監督は「インターハイは過ぎ去ったことですから。周囲から『おめでとう』とは言われるけど、やはり次に目を向けないと勝てない」ときっぱり。後半ロスタイムにこそ失点したが隙のない、ハードワークを貫いて得たこの日の勝利については「きょうの90分間は評価できる」と、前を向いて全国でのリ・スタートを切った選手たちを讃えていた。

<写真>後半13分、米子北FW山本がチーム3点目のゴールを決める
(取材・文 吉田太郎)

高校サッカー・全日本ユース2009

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