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[Jユースカップ]U-18代表・重松ハット!F東京U-18がライバル対決制す(F東京U-18vs三菱養和SCユース)

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[12.13 Jユースカップ2回戦 F東京U-18 4-1 三菱養和SCユース 深川G]

 2009Jユースカップ第17回Jユース選手権大会は13日、決勝トーナメント2回戦残り6試合を行った。東京都江東区の東京ガス深川グランドでは07年優勝のFC東京U-18と“街クラブの雄”三菱養和SCユースが激突。F東京U-18がトップチーム昇格の決まっているU-18日本代表FW重松健太郎のハットトリックの活躍などにより4-1で勝った。F東京U-18は20日に行われる準々決勝(長居2)で名古屋グランパスU18と対戦する。

 今夏の日本クラブユース選手権準優勝でプリンスリーグ関東1部優勝のF東京と、全日本ユース選手権4強でプリンスリーグ関東2位の三菱養和。今年のユースサッカー界を代表する実力派同士による“もうひとつの東京ダービー”を制したのはF東京だった。
 関係者から「2回戦で当たるのが、もったいない」という声も挙がったほどの好カード。その前評判通りに試合は序盤からハイレベルな攻防戦となった。F東京が重松とFW山口潤、三菱養和がFW木村陽一郎とそれぞれキープ力のある前線を軸にボールを前へと進めていくが、互いに攻守の切り替えが速く、また強固な守備により、簡単に決定機は生まれない。その中、局面での強さで勝るF東京が押し込んでいたが、先制したのは三菱養和だった。
 前半15分、ゴールキックを敵陣で木村が競ると、こぼれ球に反応したのは飛び級でU-18代表候補合宿にも招集されていた快足MF田鍋陵太。抜群のスピードで最終ラインの中央を抜け出すとそのまま右足で先制ゴールを叩き込んだ。

 ファーストシュートでリードを奪った三菱養和。だが、その後はF東京の猛攻にさらされることとなる。相手DFの間に巧みに顔を出す重松らにパスを通して展開していくF東京は、U-18代表の左SB阿部巧や山口がドリブルで大きくボールを運び、重松の肩越しのスルーパスで山口が抜け出しかける場面もあった。だが今年、東京都クラブユースU-17サッカー選手権で勝った試合を除くと、ライバルにタイトルへの道を阻まれ続けた三菱養和の闘争心もかなりのもの。中村侑人と櫻岡徹也の両CBの体を張ったブロックなど集中した守備でゴールを許さない。だが、F東京は43分、MF梅内和磨の左クロスを山口がつなぎ、逆サイドで構える重松へ。これを重松が左足で沈め同点に追いついた。
 
 前半のうちに追いついたことで余裕の生まれたF東京は後半もトップギアを保ったまま、三菱養和守備陣に襲い掛かる。相手の分厚い中盤をケアするために4-4-2から4-5-1へシステムチェンジしたことも“はまった”。立ち上がりから連続の好機。そして5分、エースのスーパーゴールがF東京の勝ち越し点となった。左タッチライン際から梅内が出したパスを中央で受けた重松の前には三菱養和DF2人が遮っていたが、右サイドをフリーで走るMF三田尚央によって一瞬マークが緩んだところを「はじめからシュートを撃つつもりだった」という背番号10は見逃さなかった。瞬時にシュートへ持ち込むと相手守備陣は反応できず。右足から放たれた高精度の一撃は左ポストを叩きゴールへと吸い込まれた。

 追う立場となった三菱養和は10番・玉城峻吾と新潟加入内定のMF加藤大が素晴らしいテクニックで相手をはがし、加藤の意外性のあるループパスが決定機ももたらした。ただ、F東京は対人で圧倒的な強さを見せる最終ラインがその行く手を阻む。体力面でも絶対の自信を持っていた通り、その動きが鈍ることはなかった。特に出色のプレーを見せる170cmのCB松藤正伸は「自分としても身体が動いていた。(対人で)負けないように準備できていたし、やっていて楽しかった」と身長で14cm上回る木村へのハイボールを次々と跳ね返し、的確なカバーリングで相手につけ入る隙を与えなかった。
 そして13分、三田が獲得したPKを重松がゴール右へ決めて3-1。三菱養和は22分にMF田中輝希ら3選手を同時投入して1点をもぎ取りにいくと、24分には玉城のFKのこぼれ球に反応した加藤の左足ボレーがゴールを捉える。だが、F東京はGK崔創喜がビッグセーブで封じるとその後チャンスを与えず。後半40分には阿部の右CKを梅内が打点の高いヘッドで叩き込み、4-1でライバル対決を制した。

 決勝トーナメント初戦で訪れた大きなヤマを越えたF東京。今年は各全国大会で優勝候補の筆頭に挙げられながらも、不運や油断もあり、タイトルを獲得するに至っていない。ただ、F東京の年森勝哉主将は「(ベスト8に終わった全日本ユース選手権から比べて)攻撃のバリエーションが増えていると思うし、(圧倒的な運動量により)前後半変わらないサッカーができている。今、チーム状況はいい。最後まで集中していく」と言い切った。
 「同じ東京のチームだし、絶対に負けたくない」(年森主将)と相手以上の闘争心をもって、大一番を制したF東京。強さ、勢いもあるV候補No.1が今季手にできていなかったタイトルを、3年生にとって高校生活最後となる今大会で奪い取る。

<写真>前半43分、同点ゴールを決めた重松(左)にF東京U-18イレブンが駆け寄る
(取材・文 吉田太郎)


特設:Jユースカップ2009

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