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[高校MOM181]山梨学院大付MF碓井鉄平(3年)_ユースではなく高校を選んだ主将の魂の決勝点

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.11 全国高校選手権決勝 山梨学院大付1-0青森山田 国立]

 主将の魂のキックが全国高校選手権の歴史に新たな1ページを切り開いた。山梨学院大付(山梨)は前半11分、左サイドの深い位置まで進入したMF鈴木峻太(3年)がマイナス気味に落とすと、フリーのMF碓井鉄平主将(3年)が思い切りよく右足を振り抜いた。ゴール右上に突き刺さる弾丸シュート。4万3635人で埋め尽くされたスタンドの度肝を抜くひと蹴りが決勝点になった。

 「1回鈴木にパスを入れて、自分は中に入ろうかと思ったんだけど、ゴール前は混んでいて自分の周りが空いていた。ボールを受ける前からシュートは考えていた。鈴木が右足にいいボールをくれて、トラップして、右足で狙った。入った瞬間は鳥肌が立ちました」

 個性派集団を主将としてまとめ、引っ張ってきた。FW加部未蘭(2年)が右足甲の疲労骨折のため時間限定での出場を余儀なくされ、得点源を欠いたまま臨んだ今大会。碓井を含め、実に8人が得点を挙げたが、その中でもいつも大事な場面でゴールを決めてきたのが碓井だった。

 昨年12月31日の野洲との1回戦(4-2)では2-1から試合を決定付ける決勝点を決め、2日の2回戦・立命館宇治戦(1-0)でも決勝点。9日の準決勝・矢板中央戦(2-0)でもダメ押しの2点目を決めた。そして決勝での優勝決定弾。大会通算4ゴールの司令塔は「キャプテンとしてやってきて、こうやってみんなの役に立てたと思うとうれしいです」と白い歯をこぼした。

 中学時代はF東京U-15むさしに所属。3年時には高円宮杯全日本ユース(U-15)選手権で決勝まで勝ち進んが、惜しくも準優勝に終わっていた。3年前の借りを返す全国制覇。それは、クラブユースではなく、高校サッカーを選択した自分の決断が間違っていなかったことを証明する日本一でもあった。

 「前回、選手権に出られなかったときは、正直、ユースに行けばよかったかなとも思った。でも、今はこの学校に来て本当によかったと思っています」。中学卒業時はF東京U-18に昇格することもできた。しかし、「増嶋(竜也)さんやカレン・ロバートさんがいたころの市立船橋とか、小さいころに選手権を見ていて、高校サッカーに行きたいとずっと思っていた。そのままユースに上がることも考えたけど、やっぱり選手権に出たかった」と、山梨学院への入学を決意した。

 F東京U-18は昨年12月のJユースカップで2年ぶり2度目の優勝に輝いていた。自分と同期の選手たちが全国の頂点に立ったことを知り、「いい刺激になった」と闘争心に火が付いた。自分たちも日本一になる。ひそかに心に決めていた。

 試合終了のホイッスルが鳴った瞬間は「力が抜けた」という。試合後はチームメイトからも胴上げされた。「最高の瞬間でした。胸を張って堂々と山梨に帰ります」。山梨県に初めてもたらした全国制覇。そのときの主将として碓井の名は永遠に刻まれる。そして、国立で叩き込んだ豪快な決勝点も、人々の記憶にいつまでも残るはずだ。

<写真>表彰式に臨む山梨学院大付MF碓井
(取材・文 西山紘平)

特設:高校サッカー選手権2009

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