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夢叶えたプロ初ゴール、柏の新星・工藤「言葉にならない」

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[3.21 J2第3節 柏1-0福岡 柏]

 夢を叶えた。柏レイソルに勝利をもたらしたのは柏U-18出身のFW工藤壮人。後半31分、FW北嶋秀朗に代わってピッチに入ると、その5分後だった。福岡のMF田中佑昌のバックパスをかっさらい、GKと1対1に。「ボールを持ったときは頭が真っ白だった。何も考えず、シュートを打ったら、リラックスして打てた」。冷静に右足で流し込む先制点。迷わずゴール裏のサポーター席に飛び込み、もみくちゃにされた。

 ルーキーイヤーだった昨季から「ゴールを決めてゴール裏に飛び込むのが夢」と言い続けてきた。昨季は3試合に途中出場したものの、得点はなし。そしてこの日、今季初出場のチャンスを生かし、念願のプロ初ゴールを叩き込んだ。

 試合後のサポーターへの挨拶では拡声器を持って「すみません、お待たせてしました」と、初ゴールが遅れたことをまず謝った。「言葉にならないぐらいうれしい。去年1年間は待たせてしまったので、今年3試合目でさっそく飛び込めて、サポーターは最高です」と喜びを爆発させた。

 08年の日本クラブユース選手権で得点王に輝くなど、その得点感覚と決定力はユース時代から高く評価されてきた。本人も「ペナルティーエリア内での決定的な仕事、ゴール前の嗅覚を見てほしい」と言ってはばからない。

 この日の決勝点も、GKと1対1という絶好機で落ち着き払っていた。「あの角度(左45度)はシュート練習で何百回、何千回と打っている。体に染み付いているし、リラックスして打てた」と胸を張る。

 2連勝で首位に立っていた福岡の勢いを止める意味でも重要な勝利だった。前節の栃木戦は再三の決定機を生かせず、スコアレスドロー。しかもFWフランサが負傷退場するアクシデントにも見舞われた。

 エース不在の大一番で生まれたニューヒーロー。北嶋は「J2で勝っていくには、若い選手が出てきて初ゴールを決めるとかが大事になる。前にJ2で戦った06年のチュンソン(李忠成)みたいにね。そういう勢いに押されてチームも乗っていくものだから」と言った。生え抜きの19歳FWの初ゴールは、ただの1勝以上の価値を持っている。

<写真>決勝点を決めた柏FW工藤
(取材・文 西山紘平)

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