beacon

岡田監督が3バック導入も示唆、CB固定のツケが崩壊の危機に

このエントリーをはてなブックマークに追加

[4.7 キリンチャンレジ杯 日本0-3セルビア 長居]

 0-3の惨敗を喫したセルビア戦後、岡田武史監督が3バックを導入する可能性を示唆した。DF田中マルクス闘莉王が出場停止のため、この日はDF中澤佑二とDF栗原勇蔵がセンターバックを組んだが、「前半立ち上がりからディフェンスが不安定で、簡単に裏を取られる場面が続いた」と不安を露呈した。

 「選手のポジショニングが非常に悪かった。いるだけで、相手をつかんでいなかった。メンバーがそろっていないときには、途中からやったようにアンカーを置くとか、3バックも考えないといけない」

 中澤と闘莉王が不動の地位を築くセンターバック。そのバックアップは常に不安視されてきた。2月14日の韓国戦で闘莉王が退場し、DF岩政大樹が急きょ中澤とコンビを組んだが、急造のDFラインはこのときも安定感を欠いた。

 栗原、岩政の問題だけではない。岡田監督が中澤と闘莉王で固定してきた“ツケ”でもあるのだが、指揮官は緊急事態にはあっさりと3バックにシステムごと変更する考えを示した。

 「基本的に最初から3バックを考えているわけではない。よほどメンバーが欠けた場合」とも話しており、現時点で3バックの優先度は低いようだが、岡田監督には“前例”もある。

 12年前のフランスW杯。就任後は4バックをベースにしていたが、世界のトップレベルのストライカーに対抗するため、直前で3バックを導入。DF中西永輔をストッパーに抜擢した経緯がある。

 現在の代表では08年3月26日のW杯アジア3次予選のバーレーン戦でのみ、3バックを採用している(阿部勇樹、中澤佑二、今野泰幸の3バック)。しかし、アウェーとはいえ、0-1の屈辱的な敗戦を喫し、その後「これからは俺のやり方でやる」と“脱オシム流”を宣言した試合でもあった。

 ここに来ての大幅な方針転換は疑問だ。付け焼き刃の3バックで世界に通用するとも思えず、何よりも今までのチームづくりやコンセプトを自ら否定している。今までまともにチャンスを与えられてこなかったセンターバックの選手たちが、これをどう受け止めるのか。W杯まで2ヵ月。2年半かけて積み上げてきたはずのブロックを岡田監督は自分の手で崩そうとしている。

<写真>記者会見に臨む日本代表岡田監督
(取材・文 西山紘平)

TOP