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“W杯壮行試合”はドロー、山村「やるしかない」(流通経済大vs駒澤大)

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[5.19 関東大学1部第8節 流通経済大 1-1 駒澤大 西が丘]

 W杯日本代表のサポートメンバーに選出されたDF山村和也(3年=国見高)擁する流通経済大が19日、第84回関東大学サッカーリーグ1部第8節で2位・駒澤大と対戦。MF金久保彩(4年=花咲徳栄高)のゴールで駒大が先制した試合は後半40分に流経大の注目ルーキーMF椎名伸志(青森山田高)が同点ゴールを決めて1-1で引き分けた。

 21日から日本代表合宿に長期帯同する山村の“壮行試合”。昨シーズン22試合を通して3敗しかしなかったチームが今季は第6節までにすでに3敗を喫していることもあり、何とか勝利で山村を送り出したかった流経大だったが、その前に駒大が大きく立ちはだかった。

 前半からFW田中信也(4年=国見高)にポスト直撃のシュートを放たれるなど危機を迎えていた流経大。その田中にDFラインの背後を突かれた後半2分のピンチは全日本大学選抜GK増田卓也(3年=広島皆実高)のビッグセーブにより事なきを得たが、直後の4分に右クロスのこぼれ球を拾った駒大SB酒井隆介(4年=名古屋U18)の絶妙なラストパスを中央で金久保に合わされて先制点を献上してしまう。

 その後もアタッキングエリアで隙があれば仕掛けてくる1年生MF碓井鉄平(山梨学院高)の突破やDFのミスからゴールを襲われる場面があった。このピンチこそGK増田の好守で防いだ流経大だったが、得点ランキング2位の武藤雄樹(4年=武相高)と同5位の征矢智和(3年=東京Vユース)中心に繰り出した攻撃が駒大GK岡大生(4年=清水商高)に跳ね返されて得点を奪うことができない。

 リードされた展開ではチーム一の攻撃力を持つ山村をボランチへ動かして攻撃シフトへ移す場面が多い流経大だが、相手の一発を警戒したこの日の山村は前線を信頼して上がらず。ゴールが遠い流経大は時間の経過とともに追い詰められていったが、それでも後半37分に投入された椎名が駒大の堅い守りを切り裂いた。
 40分、左クロスをファーサイドの征矢が頭で落とすと、猛スピードで飛び込んだ椎名が左足ボレーで公式戦初ゴールを叩き込む。このあと一進一退となった激しい展開の中、流経大は決定機をつくりながらも活かせず引き分け。敗れはしなかったものの、無敗で首位を走る明治大から勝ち点差11をつけられ、早くも3連覇に黄信号が点った。

 試合後、接触プレーでカットした口元を腫らしたままロッカールームから出てきた山村。自身のプレーについて「ロングボールからのヘディングで練習の成果が出せてきている」と手ごたえを口にし、チームについても「(シーズン)最初の頃よりもよくなっている」と話した。ただ、中野雄二監督は試合終盤にミスからPA付近でボールを失った山村のプレーを見逃さず「大学ではトップでも、あのレベルのプレーしか出来なかったら、南アフリカでは水汲みしかできない。できる選手は褒めてもしょうがないので言いますけど、彼は1ランク上を追及していかないといけない」と厳しく指摘していた。
 
 21日からの合宿参加前に中野監督は、より山村の気を引き締めさせる模様。その山村は「やるしかない。緊張はするけど、してもしょうがない。ガツガツやらないといけない。大会へ向けたコンディションの作り方、気持ちの面の激しさを学んできたい。そして日本が勝つことが一番。自分も貢献してきたい」と力をこめた。

 A代表デビュー戦となった1月のアジア杯予選イエメン戦のメンバーは若手中心で今回とは顔ぶれが違った。それだけにほぼ面識のない選手たちとの合宿となるが、「次回のワールドカップには選手として必ず出られるようにアピールしてきたい」と意気込む。この日の試合後、拍手でチームメートから送り出された山村。相手選手のひとりに「動きを読まれている気がしたし、どうすれば抜けるのか分からなかった」と言わしめた、その守備力で日本代表選手たちに顔と名前を印象付ける。

(取材・文 吉田太郎)

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