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芸術ゴールもハンド?ルイス・ファビアーノ「あれは聖なる手」

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[6.20 W杯グループリーグG組 ブラジル3-1コートジボワール サッカーシティ]

 カナリア軍団が難なく「死の組」を突破した。北朝鮮戦(2-1)に続いてコートジボワールを3-1で下し、2連勝。ポルトガルとの最終戦を残して、G組2位以内が確定した。

 ブラジルらしい鮮やかなゴールの連続だった。前半25分、左サイドからのボールを中央でトラップしたFWロビーニョがFWルイス・ファビアーノにはたくと、ルイス・ファビアーノはワンタッチでヒールパス。これを受けたMFカカが鋭い切り返しでDFをかわし、PA内に走り込んだルイス・ファビアーノに絶妙なスルーパスを通した。

 右サイドの角度のない位置から豪快なシュートを叩き込んだルイス・ファビアーノはチームメイトと歓喜の抱擁をかわすと、テレビカメラに向かって両手で6本の指を立てた。6歳の誕生日を迎えたばかりの娘に捧げるゴール。最高のプレゼントに会心の笑みだった。

 後半5分には個人技で魅せた。GKジュリオ・セーザルからのパントキックをDFティエネと競り合いながら胸トラップ。素早く体を入れ替え、前に出ると、チェックに来たDFゾコラ、DFコロ・トゥレと立て続けにボールを浮かしてかわす。リフティングするように次々とマークをかいくぐり、最後は胸トラップで落としたボールを左足ボレーで叩き込んだ。

 芸術的なスーパーゴールだったが、最後の胸トラップが右腕に当たっているようにも見え、コートジボワールの選手はハンドをアピール。主審はゴールを認めたが、ルイス・ファビアーノは試合後「あれは私の聖なる手が助けてくれた」と、暗にハンドを認めるようなコメントを残した。

 マラドーナの「神の手」ならぬ「聖なる手」。それでも、この1点がコートジボワールに与えた影響は大きかった。後半17分にはカウンターからカカが左サイドをえぐってゴール前に折り返し、MFエラーノが2戦連発となるゴールでダメを押した。

 セレソンで不動の1トップを務めるルイス・ファビアーノは「やっとゴールを決められた」と安堵の表情を浮かべた。「なかなか結果を出せずにいたけど、ずっとハードな練習に取り組んできたし、いつか点が入ると信じて、努力を続けてきたんだ。ひとつ決まると、次も簡単に決まるもんなんだよ」。

 初戦は5バックで守りを固める北朝鮮を攻めあぐね、消化不良に終わっていた。チームプレーと個人技で奪った2発は決勝トーナメントに向けても弾みが付きそうだ。

(取材・文 西山紘平)

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