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W杯招致へアピール成功!? FIFAの日本視察が終了。「心のプロジェクトが良かった」

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 2022年のワールドカップ招致を目指す日本に対し、FIFA(国際サッカー連盟)の視察団が19日から来日してスタジアムなどの施設を調査したが、最終視察を終えた22日午後、東京都内で総括会見を開いた。

 今回、FIFAは2018年と2022年のW杯開催に立候補している全9候補地を視察するが、日本は一番手(その後は韓国→オーストラリア→オランダ/ベルギー共催、ロシア、イングランド、スペイン/ポルトガル共催、アメリカ、カタールの順)で視察団の訪問を受け、犬飼基昭日本サッカー協会会長兼W杯招致委員会委員長、FIFA理事でもある日本協会の小倉純二副会長らが“日本開催の利点”を多方面からアピールした。(※日本のW杯招致に向けた基本コンセプトおよびアピールポイントはコチラを参照してください)。

 開幕戦&決勝戦の会場として新設予定の「大阪エコ・スタジアム」(仮称)の建設予定地をヘリ視察してもらったほか、トレーニングサイトとなる堺市立サッカーナショナルトレーニングセンター、グループリーグの試合会場となる埼玉スタジアム2002、ドロー会場となる東京国際フォーラムなど複数の施設を紹介した。また最終日のこの日は、日本で開催することの利点やその意義などについて最終プレゼンテーションを実施。日本代表監督でW杯招致アンバサダーを務める岡田武史監督が登壇し、日本開催をPRした。

 団長を務めたチリサッカー連盟会長のハロルド氏は「(視察の間)日本をホームのように感じた。前夜は、菅首相と総理官邸で夕食をごちそうになったが、経済界の方もいらして、サッカー界だけでなく、官民一体となって招致しようとしていることが分かった。日本は非常に準備が整っていて、日本の計画はバランスが取れていたと感じた。日本のサッカーや、仕事をしている人に対して、プロフェッショナリズムを非常に感じた」などと感想を述べた。

 日本は2002年に日韓W杯を開催しているが、そのときから運営面の良さは評価されている。今回は、8万人を超える大規模新スタジアムの建設面で問題を残しているが、それ以外の施設面やインフラでは大きな問題がなく、まずまずの評価を受けた様子。中でもハロルド団長がもっとも共感したポイントは、これまで日本協会が継続してきてやってきた「心のプロジェクト」(夢センセイ)だった。

 これは少年少女に、もっと夢を持ってもらおうという「次世代教育」で、OB選手や現役選手が小学校などを訪れて特別授業をし、夢を持つことの大切さなどを伝えていく日本協会主催の事業。日本で2022年にW杯が開催された場合、世界中から約6000人の子供たちを日本に招待し、W杯を体験しながらホームステイなど、さまざまなツアーに参加することで平和や環境について学び、子供たちの夢を育もうというプログラムも計画している。団長は「心のプロジェクトは素晴らしい。これこそが、夢のフットボールだ。次世代によりよい希望を持たせることができる」と強調していた。

 日本は共催ながら2002年に開催しており、「なぜ、もう一度、日本で開催するのか」という意義が求められる。これが今回のプレゼンテーションで重要となる要素の一つだったが、犬飼基昭会長は「日本中が2022年に、どうしてもワールドカップを呼びたいという気持ちが理解していただけたと思う」と、できる限りアピールができたことを明かした。

 今後、FIFAの視察団は各国(日本の後は韓国→オーストラリア→オランダ/ベルギー共催、ロシア、イングランド、スペイン/ポルトガル共催、アメリカ、カタールの順)を調査して報告書を作成、これを元に今年12月2日のFIFAの理事会で、2018年大会と2022年大会の開催国が決定される。

 日本が開催を目指す2022年は、「初のオセアニア開催」と大義名分があるオーストラリアが少しリードしているとの噂もあるが、環境面では日本は決して他国に劣らない。2度目のW杯開催で、日本中が日韓大会を超える熱狂へ・・・。そんなサッカー界の夢が、もう一度実現することを祈りたい。

<写真>FIFA視察の総括会見で、ハロルド団長(左)と犬飼会長が記念撮影

(取材・文 近藤安弘)

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