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[全国総体]電光石火の2発!鹿島入りの柴崎ら擁する青森山田を市立船橋が撃破!!

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[8.1 全国高校総体1回戦 市立船橋 2-1 青森山田 具志川多種目球技場Aコート]

 平成22年度全国高校総合体育大会「美ら島沖縄総体2010」が1日に開幕し、1回戦23試合が行われた。うるま市の具志川多種目球技場Aコートでは1月の全国高校選手権準優勝校・青森山田(青森)と最多6度の優勝を誇る市立船橋(千葉2)が激突。前半6分までに2点を先取した市立船橋が2-1で勝ち、大分鶴崎(大分)と対戦する2回戦へ駒を進めた。来季鹿島アントラーズ加入へ加入するU-19日本代表候補MF柴崎岳と清水エスパルス入りする同代表候補GK櫛引政敏擁する優勝候補・青森山田は初戦で姿を消した。

 電光石火ともいえる2発だった。立ち上がりから青森山田にボールをキープされた市立船橋だったが4分、カウンターから独走したMF今瀬淳也がMF石原幸治とのパス交換で抜け出すとそのまま右足シュート。右サイドから放った一撃は名手・櫛引の指先を抜けてニアサイドへと突き刺さった。

 ベンチの控え選手、コーチ陣から良く声の出る市船橋の選手たちは試合開始から闘志満々。危険な場面でも最後の一歩を踏み出して、何とか身体に当ててクリアしてしまう。そして先制弾からわずか2分後の6分、試合の流れを大きく傾ける2点目が決まった。青森山田のセットプレーのチャンスだったが、市船橋は厳しいプレスでボールを奪うと、リスク覚悟で一気に前線へと人数をかける。対する青森山田のDFは2人のみだった。市船橋はボールを運んだ石原が右サイドを走るFW和泉竜司の前方へとパスを送ると、一度は行く手を阻まれた和泉が強引に右サイドから中央へとラストパス。これを中央で詰めたFW水谷達也が難なく決めて2-0とした。

 「最初取れれば、と思っていたけれどうまくスキをつけた」と喜んだ市船橋DF平尾優頼主将に対し、青森山田の黒田剛監督は「選手たちもカウンターに対する意識はあったと思う。でもカウンターにかけてくる人数を把握していなかったようだ」。東北の雄にとっては、この2点があまりにも深い傷となってしまった。

 青森山田は絶対的司令塔の柴崎が絶妙なコントロールパス、ダイレクトパスを連発。そして右足を振り上げてから蹴るまでの間に判断を変更して、ひとりで相手DFをずらすなど随所に光るプレーを見せる。そのパスに日本高校選抜のMF三田尚希らが反応。決定機を生み出した。そして後半開始直後の3分、中盤でボールをもった柴崎は中央に空いたスペースへ自ら入り込みスルーパス。これに反応した2年生MF差波優人が左足でゴールへと流し込んで1点差とした。

 さらに15分には市船橋DF百瀬隆之介が2枚目の警告を受けて退場。ハイテンションで試合を進めてきた市船橋に疲れの色を見せ始めたこともあり、試合の流れは一気に青森山田へと傾いた。だが、「GKがこぼしても反応する選手もいなければ、負けているのにスライディングしてボールを取ろうとする選手もいない。戦えるチームではない」と黒田監督が嘆いたように、青森山田にはここぞの場面で泥臭くても勝利を引き寄せようとする選手がいなかった。逆に市船橋は「正直早く終わってほしかったけれど、みんな集中してくれていた」と振り返った平尾主将と山野辺大樹の両CBを中心に全く集中力が途切れない。数的不利でも泥臭く、身体を投げ出すようにして戦い抜く。そして再三のピンチを守り抜いて試合終了。“イチフナらしい”勝負強い、勝ち切るサッカーでゴールを死守した千葉の名門が、注目タレント擁する優勝候補を突破した。

(取材・文 吉田太郎)

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