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[全国総体]堅守の前に静岡学園も沈黙!桐光学園が3戦連続完封で8強進出!

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[8.3 全国高校総体3回戦 静岡学園 0-1 桐光学園 具志川多種目球技場Aコート]

 平成22年度全国高校総合体育大会「美ら島沖縄総体2010」は3日、各会場で3回戦計8試合が行われた。うるま市の具志川多種目球技場AコートではともにV候補に挙げられている静岡学園(静岡)と桐光学園(神奈川1)が激突。前半18分に2年生DF高橋将吾が挙げた1点を守った桐光学園が1-0で勝ち、筑陽学園(福岡)と対戦する準々決勝へ駒を進めた。

 「攻撃サッカーの元祖」と謳われる技巧派軍団・静岡学園が前半放ったシュートは、大型ストライカーFW鈴木健太が独力でDFを外して撃ったわずか1本だけ。それもシュートはDFに弾かれてGK峯達也を脅かすことはなかった。逆に桐光学園は18分に左CKをFW坂本颯がつなぎ、高橋の豪快な右足シュートで先制。前半、桐光学園が見せた試合運びは完璧に近いものだった。

 堅守に定評のある桐光学園。鈴木や篠原研吾ら攻撃力の高い静岡学園に対し、深いラインを敷いて相手の攻撃を受け止める作戦もあったはずだ。実際、プリンスリーグ関東では、桐光学園の堅い守りをこじ開けられずに勝ち点を失うJクラブユースもいる。だがこの日、桐光学園が選択したのはハーフウェーライン付近にラインをとって、高い位置で相手にプレッシャーをかける戦法。一人ひとりの個人技が高い静岡学園ならばこれを意に介せず外し、ドリブルとショートパスで切り崩すこともできただろう。ただ、試合開始から気迫の面で下回った静岡学園は次々と押し寄せてくる相手選手に球際で簡単に潰され、パスミスも連発。苦し紛れの縦パスは桐光学園の強力なCBコンビ、福森晃斗と高橋のえじきとなった。

 ハーフタイム、ベンチ入りしていた静岡学園前監督でエキスパートアドバイザーの井田勝通氏はまるでいいところのなかった選手たちに「何かに怯えながらやっている。自信を持て」と厳しく指摘。川口修監督も後半開始から快足アタッカーの廣渡剛太らふたりを投入し、「攻めろ!」のメッセージを送る。本来のスタイルが見え出した後半の7分にはそのスピードで右サイドを破った廣渡がPAへ侵入し、14分には静学らしい鮮やかなパスワークから廣渡が決定的な左足シュートを放った。

 だが、ギアの入っていなかった前半に喫した失点が時間を追うごとに大きな焦りを生み、チームに重く圧し掛かる。また足の甲を痛め、ベンチ入りしていながら今大会出場機会のなかった10番MF大島僚太の不在も大きかった。桐光学園はDFラインが裏を取られた際にカバーリングの動きが重なってしまう場面などあったが、足技で上回る静岡学園の個を丁寧に2人がかりで潰し続けた。静岡学園はGK一ノ宮聖が見せた再三のビッグセーブにより2点目こそ与えなかったが、スコアを動かすことができず0-1で敗戦。FW菅原慶人主将が「3回戦がヤマ場だと考えていた」とこの試合に懸けていた桐光学園の守備力、組織力が静岡学園の攻撃力を飲み込んだ試合だった。

 昨年、2年生レギュラー8人で全日本ユース(U-18)選手権16強進出している桐光学園。彼らが3年生となった今年は期待の年代だ。峯は「昨年は守るだけだったけれど、今年は自分たちから攻撃できる。プリンスリーグはまだかみ合わなくて結果が出なかったけれど、昨年よりも数段レベルアップしている」と言い切った。相手の2倍に当たる12本のシュートは精度を欠き1点に終わったものの、これで自慢の守備陣は3試合連続完封。無失点Vも可能な堅守と、勝つための武器も磨いてきた桐光学園が、3回戦で大きな壁を突破した。

(取材・文 吉田太郎)

平成22年度全国高校総合体育大会「美ら島沖縄総体2010」

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