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俊輔が全得点に絡む活躍。原監督代行「パスもシュートも素晴らしかった」

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[8.29 J1第21節 横浜FM3-0新潟 日産ス]

 新監督が決まっていないとはいえ、W杯後の新生日本代表メンバーが発表された直後の試合。横浜FMからは中澤佑二、栗原勇蔵の両CBが代表に招集され、監督代行を務める原博実強化担当技術委員長が視察に訪れた。そんな“代表モード”の中で最も輝いたのは、代表を引退したMF中村俊輔だった。

 後半2分、中央やや右からロングスルーパスを出してFW山瀬功治の先制点をアシスト。チームに勢いをもたらすと、同26分にはPA内左から仕掛けて、利き足とは逆の右足でゴールを決めた。同40分の長谷川アーリアジャスールの3点目も、俊輔の右CKから始まった。1ゴール1アシスト1起点と全得点に絡んだ。代表引退がもったいないと思わせる活躍だった。

 「自分たちより上にいるチームに勝てて良かった。今日みたいに勝てれば、自然と順位も上がってくると思う。右足のシュート? あれはイメージしていた。リターンのボールが来る前から周りを見てて、右足のアウトで(横に)出して、シュートを打とうと思っていた。いいところにいって良かった。FWだけでなくてMFも、全員で点を取れるようにしないと」

 当然ではあるが、試合後は、横浜FMを上位に浮上させたい思いばかりが口をついた。南アフリカW杯は、途中出場したグループリーグ第2戦のオランダ戦だけの1試合で終わった。チームが日本開催以外のW杯で初めて16強という結果を残した中、俊輔個人は不完全燃焼に終わった。そして大会後、日本代表からの引退を表明。目標を、横浜FMを再びリーグ制覇に導くことに変えている。

 しかし、チームはなかなか連勝できず、この日はチーム得点王でエースのFW渡邉千真がベンチ外という事態となった。4-4-2のシステムで挑んだが、2トップの本職FWは17歳の小野裕二だけ。前述の言葉にあるとおり、自らがゴールを決めて勝利に導くことを強く考えていた。今季3得点目だったが、うち2得点はW杯後。ゴールへの意識も強まり、なおかつコンディションも上がっている証拠だ。

 「俊輔? パスもシュートも素晴らしかったね。代表に選ばれたとか、選ばれていないとかは関係なく、日本のサッカーのレベルを上げるには、まずは国内、Jリーグの選手が力を出さないと」

 原技術委員長は俊輔のプレーを高く評価した。俊輔本人の意志が固いため、今後、よほどのことがない限り、代表に復帰することはない。もちろん、常に高いレベルを維持し続ける必要があるため、この試合の活躍だけで、俊輔の代表復帰を日本協会が“強制”することもないだろう。とにかく、日本代表が絡むかどうかは関係なく、俊輔のサッカーへのモチベーションが下がることはない。

 「あと何試合、何点取れるか分からないからね。1戦1戦、やって行きたい」と俊輔。目標は日本をW杯で飛躍させることから、横浜FMを再び名門の地位に押し上げることに変わったが、まだ“主役の座”を譲るつもりはない。これからも、その左足で“日本のサッカー”をリードしていく。

<写真>視察に訪れた日本代表原代行監督

(取材・文 近藤安弘)

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