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原委員長「彼が一番日本に合っている」、誠実な人間性が決め手に

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 長期化していた次期日本代表監督問題の終結に、交渉を担当した原博実・強化担当技術委員長は安堵の表情でアルベルト・ザッケローニ新監督の就任会見に同席した。

 「昨日契約できたことをこの場では喜びたい」。難航した契約交渉の中、メディアの批判を浴びながらも実現させた大物指揮官との契約。表情には充実感ものぞかせた。

 「組織的な守備はできていたが、それをもう一歩、相手ゴールに近づけて、そこからいかに攻撃を仕掛けて点を取るか。それを考えたときに、彼の経験や組織、グラウンドを広く使った大胆なサッカーで日本のレベルがもうひとつ上がるのではないかと思った」

 南アフリカW杯で見えた収穫と課題。それを踏まえた上で、ザッケローニ新監督に日本代表を託した。さらに原委員長が重視したのが人間性。「まじめで、誠実に仕事をしてくれる。(交渉の中で)話し合っていてもやりやすいなと感じていた。彼自身、日本のことをリスペクトしてくれている。彼が一番日本に合っていると思った」と強調した。

 セリエAの解説者時代からザッケローニ新監督のサッカーを見てきた。「大胆なサッカーと言われるけど、バランスの取り方や安定感は素晴らしいなと思っていた」と指摘。「それにイタリアのビッグ3(ミラン、インテル、ユベントス)の監督をすべてやった人は他にいないと思う。あの3クラブにはいろいろな事情がある。よほど人間的に信頼できる人でないと、ビッグ3のすべてで指揮は執れない。そういう情報もいろんな人から聞いていた」と明かした。

 ザッケローニ新監督にイタリア国外での監督経験、代表チームを率いた経験はない。それでも「代表を率いたことのある人とも話をしていた。そのメリットもあるが、彼と話している中で“Jクラブの練習も見に行っていいのか?”ということも聞かれた。そういう発想は代表監督をずっとやっている人にはない」と言う。

 「(シーズン途中に就任した)昨季のユベントスとか、苦しい状況から監督をやったり、いろんな経験をしている。いつも代表に選手を取られる立場の人の方がフレッシュなところもある。慣れてはいないが、モチベーションはある。“次のチャレンジは代表監督”とはっきり話していたし、マイナス面より、代表監督をやりたいという意欲の方を重視した」と不安を一蹴した。

 新監督に課すノルマについては言及しなかった。「ノルマというより、すぐ1月にアジア杯がある。7月にはコパアメリカもあるし、そういう戦いをしながら日本の選手を把握して、W杯の予選をしっかり戦っていく。まず予選突破。そして本大会でさらにいい成績をあげてほしい」。契約は1年ごとに見直していくが、現実的にはブラジルW杯までの4年間という長いスパンで代表チームを強化していく考えだ。

(取材・文 西山紘平)

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