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F東京は3選手が負傷の不運。怪我明けの今野が緊急出場

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[9.12 J1第22節 F東京0-1浦和 味スタ]

 FC東京は不運が重なった。故障者3人が出る悪夢に襲われ、その影響もあり4-1-2-3の新システムが機能しなかった。

 前半20分、2列目中央に入ったMF羽生直剛が治したばかりだった左ふくらはぎを痛め、今野泰幸と緊急交代した。今野も怪我が万全ではなく、城福浩監督も「90分は厳しい」として控えに回していたが、運動量が求められる2列目でいきなり起用された。

 そして前半37分にはアンカーに入っていた高橋秀人が、直前のシュートブロックで左腓骨を打撲し、MF石川直宏と交代した。ここで、もともとうまくいっていなかったこともありシステムも変更。慣れ親しんだ4-4-2に戻した。

 0-1で迎えた終盤もアクシデントが起こる。後半37分、MF鈴木達也がサイド突破を図る際に、ドリブルでターンしようとしたところ、左太股の裏肉離れした。この時点で3人の交代枠を使い切っていたため、F東京は残り時間を10人で戦うことになった。恒例の終盤の追い上げムードの中での出来事だった。鈴木は試合後、「ターンしたときにやった。バチンという音がした。切れてるのは間違いない。出血もある」と悲痛な表情を浮かべた。

 選手は口々に、4-1-2-3と表現した新システムだが、相手に押し込まれたことや不慣れな戦術だったこともあり、実質4-1-4-1だった。サイドの鈴木とリカルジーニョは2列目、ボランチの位置まで吸収されることがしばしば。1トップのFW大黒将志が孤立する場面が目立ち、まったく機能しなかった。石川の投入とともに4-4-2に戻したが、これで少し持ち直した。しかし、アクシデント続きでは、巻き返すには無理があった。

 城福浩監督はシステムについて「今回のシステムの変更にはいろんな理由がありました。変えるということは、いいところもあれば必ずリスクも存在する。特にリカルジーニョ選手は、コミュニケーションの問題と奥さんの出産に立ち会ったことで準備が十分でなかったのかもしれない。羽生が不具合をカバーしてくれていたが、羽生の怪我の前後で4-4-2に戻した」と説明した。とはいえ、これは指揮官のスカウティング、試合展開の部分で“読み違え”があったといえるだろう。

 8戦勝ち星なしで順位は14位。ただ21の勝ち点はJ2降格圏内の16位・神戸と同じと危機的だ。この日、怪我明けで、後半以降の出場予定だった今野は「足がつりかけた。ただ、こういうのはサッカーではよくあること」と話しつつ、J2降格圏内が目前に迫ったことについては「意識しないとまずい。何とかなるだろうで進んでいくと、危険なことになる。すべてにおいてあせりを感じる」とうつむいた。“トンネル”からはいつ抜け出せるのか。ある関係者は「監督が焦りを見せている」と証言する。今こそ、腰を落ち着けて無理な変化をつけるのではなく、これまで蓄積したことをやり遂げるべきだ。

(取材・文 近藤安弘)

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