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ネイマール問題、まさかの監督解任で新たな問題も

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 ブラジル・サントス所属のブラジル代表FWネイマールがクラブより戦力外通告処分を受けていた問題は21日、クラブがドリバウ・ジュニオール監督を解任するというまさかの展開でいちおうの収束をえた。

 15日のゴイアニエンセ戦で、自分が得たPKを、他の選手がキッカーを務めたことで監督と口論になったネイマール(PKの場合にキッカーが他の選手=マルセウになることは試合前に決まっていたという)。これに対しクラブは給与30%カット、無期限戦力外処分を通知したのは既報の通り。ただし20日にクラブの会長とドリバウ・ジュニオール監督との間で話し合いがもたれ、会長は「自分としては、21日のクラシコ、コリンチャンス戦でネイマールを復帰させてほしい」と明言。ただしこれはあくまで会長の指示ではなく、最終判断は監督に任せたものだったと伝えられていた。

 会長との話し合いで最終判断は自分に委ねられたと思った監督は、20日にネイマールを練習に復帰させた。しかし21日、監督が発表したコリンチャンス戦のメンバーにネイマールの名前はなかった。監督は「選手にとっても、多分サントスにとっても、これが良い判断だと思っている」とその理由を語った。出場メンバーは前泊し、ネイマールは帰宅。しかしその後、クラブが急遽監督の解任を発表した。

 クラブは22日に会見を開き、チームディレクターが以下のように理由を明かしている。
「クラブとしては、給料カットで、ネイマールへのペナルティは終了したと判断していた。それに対し、監督からは一度も前もって、首脳陣に『ネイマールを外したい』という話がなかった。クラブの方針があって、監督がそれに異論があるのに首脳陣と話もせずに決断するようでは、統制が取れない」
 前出の通り、少なくとも会長と監督の間で話し合いはあったが、クラブとしては「ネイマールをクラシコのメンバーから外す」という結論に満足しなかったようだ。

 一方、突然解雇されたドリバウ監督は、当初「首脳陣からはネイマールを出すようにという指示はなかった」とだけ言って、あとは沈黙を守っていたが、事態が大きくなり、収拾がつかなくなったこともあり、翌日午後に自宅前で囲み取材に応じ、言葉少なにこう話している。
「コミュニケーションのミスによって、こうなった」
 少なくともメディアの前でクラブへの不満や恨みを言うことはなかった。ネイマールについては、彼自身の成長にとって大事な時なので戦力外という方法を取ったこと、チームをコントロールしていくためにそれが必要だったと話し、何よりも「ネイマールのことを愛しているし、私にとっては息子のようなものだ。今回のことで、彼がプレッシャーを感じることのないようにしてやってほしい」とエールを送った。

 監督が解任されたサントスは、22日夜に行われたコリンチャンス戦をコーチの指揮の下で戦い、2-3で敗れた。ネイマールは監督解任によりメンバー入り。試合にも出場し、1ゴールを決めている。
 スタジアムでは、ネイマールの名前が出てくると、サポーターから声援を送られ、ネイマール自身も神妙な表情でプレー。密着マークされても、監督との口論以前に問題になっていたような怒るようなこともせず、黙々とプレーしていた。

 とはいえ、一部サポーターからは「サントスFCが、ネイマールFCになった」、写真をモンタージュし、王様の写真にネイマールの顔をつけた写真をサイトにアップするなど、クラブの“ネイマール様々”な扱われぶりを、からかうものも出てきている。
 報道陣からは「今後就任する監督には、ネイマールを起用することが絶対条件のようになってしまうので、後任監督選びが難しいのでは?」と、皮肉のような質問も飛んだ。
 当初、この話題の焦点はネイマールの最近の言動についてクラブが処分をしたもので、その行方が注目されていた。しかし結果的に監督よりもネイマールを優先し、監督を解任したことで、サントスのクラブとしての姿勢がどうなのか、というものに移っていったことをメディアが指摘している。

 なお、23日にはブラジル代表メンバーが発表されたが、リストにネイマールの名前は入っていない。

<写真>コリンチャンス戦に出場したネイマール

(協力 藤原清美)

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