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森本か前田か、ザックジャパンのエースをめぐる戦いがヒートアップ!!

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 ザックジャパンのエースはどちらだ!? 日本代表は7日午後、8日のアルゼンチン戦に向けて試合会場の埼玉スタジアムで公式練習を行った。いよいよ目前に迫ったザックジャパン初陣を前に、FW森本貴幸(カターニア)とFW前田遼一(磐田)が1トップの座を懸けて火花を散らしている。

 ピッチを狭めたハーフコートで行われた紅白戦。オレンジのビブスを付けたチームの1トップを森本が務め、ビブスなしのチームは前田が1トップに入った。4日から始まった今回の合宿でアルベルト・ザッケローニ監督は一貫して4-2-3-1のシステムを採用。FW登録の選手は8人いるが、森本と前田の2人以外が1トップに入ることはなかった。森本か、前田か。指揮官は眼光鋭く、2人のプレーに熱視線を送り続けた。

 この日は全体練習後、ザッケローニ監督が森本を呼び止め、約10分間、身振り手振りをまじえて個別指導を行った。「私の考える理想のFW像というか、どうプレーすれば、短い距離でゴールまで向かえるかを話した」。通訳を介さず、イタリア語で直接伝授した“FWの心得”。イタリア人指揮官の英才教育に森本は「ボールの受け方とかポジションの取り方とか、そういう指導でした。マークを外す方法とかそういう感じ。なるほどと。実戦で生かせる? もちろんです」と決意を新たにしていた。

 ザッケローニ監督の期待の表れでもある。9月のパラグアイ戦(1-0)、グアテマラ戦(2-1)では2試合連続で1トップを務め、グアテマラ戦では2得点と結果を残した。出場機会がなく、悔しい思いを味わった南アフリカW杯をへて、日本代表としての誇りや自覚も強まっている。

 所属するカターニアでは今季、開幕戦に残り4分から途中出場しただけで、その後は5試合連続で出番なし。3日のレッチェ戦では今季4度目のベンチ外となった。「いろいろと溜まっているものがあるので、試合に出て晴らしたい」。アルゼンチン戦でうっ憤を晴らそうと、高いモチベーションで代表に合流してきた。

 一方、約1年ぶりの代表復帰となった前田も岡田ジャパン時代は不遇の時を過ごした。昨季はJリーグで20得点を記録し、日本人選手として7年ぶりの得点王に輝いた。今季もすでに12得点を挙げ、得点ランキング2位、日本人ではトップに立っている。特に9月11日の湘南戦から25日の京都戦まで3戦連発4得点を記録するなど絶好調だ。

 試合勘に不安のある森本と比べれば、現時点のコンディションという意味では前田が一歩リードしているのは間違いない。それでも「Jリーグでいくら点を取っても、代表とは関係ないと思っている」と、クラブと代表は別物だと強調する。森本とのポジション争いに勝つために重要になるのは、あくまでも代表での結果。自分の存在価値を証明するチャンスが今回のアルゼンチン戦、そして韓国戦だ。「1トップはチームでもやったことあるし、問題ない。少しでも長く試合に出られるようにしたい」と意気込んでいた。

 イタリアに渡って5シーズン目を迎えた森本と、Jリーグで着々と結果を残してきた前田。対照的な2人のどちらがエースに指名されるのか。「すべての試合が我々にとってチャレンジ。そしてチャレンジするからには結果を残したい」。アルゼンチンとの初陣へ決意を語ったザッケローニ監督。その選択が注目される。

<写真>全体練習後、森本貴幸(右)に直接指導するザッケローニ監督

(取材・文 西山紘平)

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